少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№229📕神を目指すホモ・デウスという新種

お元気ですか。少年シニアです。ホモ・サピエンス史で、これまでの歴史とその歴史を動かしてきたエンジンを語ったノア・ハラリは次作「ホモ・デウス」で、人類の未来の予測を試みました。「デウス」は神。つまり人類の未来は、神への接近とその実現にあるという大胆な予測をしたのです。

 

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

 

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 いきなり冒頭から紀元後3000年の世界が提示されます。その世界は、飢餓・疫病・戦争がほぼなくなった平和で快適な世界です。人類は、これまで人類を苦しめてきた三大厄災の問題を解決したというのです。この兆候は、産業革命後に起きた科学技術の進歩によって起き出し、21世紀から進展したAI技術の進展により加速していくとするのです。すでに現在では飢饉で亡くなる人の数よりも飽食によって命を失う人が多くなり、戦争で亡くなる人よりも自殺によって亡くなる人が多くなっていることをあげ、部分的には様々な問題があるにせよ、大きな流れとしては飢餓・疫病・戦争という三大悲劇は減少の方向に向かっていることを指摘しています。

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 そして、そうした問題も、以前のように神に祈りを捧げて神任せにするのではなく、自分たちの力によって制御と解決が可能な世界に移行したとするのです。しかし、一方で成功はさらなる野心を生みます。そして人類は大胆な目標をもつに到る。その大胆な目標とは何か。それは飢餓・疫病・戦争の除去といった不幸を取り除くといった受身的な課題ではない。つまり人類は幸せへの獲得へと課題を格上げする。それは不死も含む神業への挑戦への移行を目指すだろうと著者は言うのです。

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 ただ、これは著者ノア・ハラリの願望や期待ではなく、またそうあるべきということではなく、ホモ・サピエンスのあくなき欲望を充たそうとする業を考えたとき、そうした目標を設定するだろうという予測であることを理解しておかなければなりません。むしろノア・ハラリ個人としては、そうした流れに危惧をもっていることが、その後読み進めていくと理解できます。

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 こうした更なる欲望の追究を目指す人間の業に気づき警鐘を鳴らし、これを防ごうとしたホモ・サピエンスが2500年前にすでにいました。ゴーダマ・ブッタです。彼は非常に謙虚でした。生老病死という四苦だけは何人とも逃れることはできない。

ただ生きている間に苦を減らすことは可能である。それは欲望の渦をたちきり、正しい行いをすることだと説いたのです。私はこの教えにほぼ100%同意します。ただ俗人の私には欲望の渦を完全に断ち切ることはできない、ただ抑制することは可能かもしれないと思っていますが・・・。

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 いずれにしても神の領域に接近しようとする人類はもはや対処療法で生き抜いてきたホモ・サピエンスとは呼べない。それを著者はホモ・デウスと名付けたのです。ホモ・デウスホモ・サピエンスの中でも特別秀でた賢者であるゴータマ・ブッタの教えに異議を唱え、さらなる欲望を喚起させることで、さらなる富を生み出し、不老不死幸福の獲得を目指します。いったいどちらの言い分が正しいのでしょうか。それともどちらの言い分も不完全で、本当のところはまた違った真理に基づく別の歩むべき道があるのでしょうか。

 

次回、さらに著者の未来予測・分析結果を追っていきましょう。