少年シニア 55歳から学ぶ理科

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№227📕成長を前提とした資本主義の後押し

お元気ですか。少年シニアです。

欧州の世界制覇には帝国の存在と教会の連携があり、それを可能にしていたのは科学をベースとした技術であったことは前回ふれました。しかし、それだけではこのような大規模な海外への進出は困難でした。それは、資本主義というこれまでにない得体のしれないシステムであり、このシステムによって莫大な利益を得た大商人たちが、帝国の野望を支え、自らの野心を満たしたのでした。

 

 

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

 

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  これは、明治政府が富国強兵と殖産興業を合言葉に東アジアに進出したのと同じです。政府は民間払い下げをして、ときの三菱や三井といった豪商が関与し、莫大な利益を得ていたのと同じ構造であり、それを欧州は300年ほど前から進めていたわけです。異なるのは日本には教会という宗教的な野心ある存在はなかったということだけです。

資本主義はある面、よく考えると不思議なシステムです。そこにあるのは信用というシステムで財貨が流れていくというシステムで、信用を得たものがそれによって莫大な財貨を借りることができ、株というこれも実体のないものによって多くの人から財貨を集めることができるシステムで、その前提は、常に経済は成長するということでした。

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 田中角栄元首相が在職時に「消費は美徳」といったのは、こうした成長が前提である資本主義の本質をよく言い当てています。同じ量を買うならより多くの人が、人の量が変わらないなら、一人当たりの消費量が増加しなければ、経済は成長しません。

でも人間は無駄なものは持ちたくないとか買いたくないという意識を常にもっています。それは人間も以前は他の動物たちと同じ原理原則に則った生き方をしてきたからでしょう。人間以外の動物は決して浪費しないのです。ライオンは、腹が満たされていれば目の前に大好物のインパラなどが通っても、何の興味もしめさないのです。おそらく割引セールをして無駄な買い物をするのは人間だけです。

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 しかし昔はそうではなかったのです。ホモ・サピエンスは他の動物より秀でた存在ではなかったから、得た獲物は大切に扱い、決して浪費することはなかったのです。そのDNAを我々も受け継ぎ、生理的に浪費に対する罪悪感があるのです。

 だから資本主義は、自らを正当化する理論を欲していました。そこに登場したのが英国の「アダム・スミス」であり、その理論を社会一般に広めたのが「国富論」です。

彼の国富論によって、資本主義に欠かせないのは成長であり、そのためには節約よりも消費が大切であることを、とうとうと記したのでした。ここに資本主義を擁護する理論が提示され、人類は罪悪感を感じることなく、消費に走ることができたのです。

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 人類とはつくづく面白い生き物であり、やっかいな生き物だと思います。すべての行為に意味を求めるのです。人生にも目的をもとめます。人生の目的を提示してそれに導こうとするのが宗教ですが、宗教にはあきたらず自分で人生の目的とは何かをを考える者もいます。ただいずれにしても、すべてのことに意味づけをして、それが自分の中で消化できれば、その大儀名分に殉じることもするのです。そうした上から意味づけされた行為にどれだけ多くの人間が死んでいったことでしょう。恐ろしいことです。

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 資本主義もアダムスミスの国富論によって晴れておすみつきを与えられ、人々はそれでものを買い、手持ちに金がなければお金を借り、消費することで成長に寄与したのです。そして欧州の国々が海の外まで出ていって、植民地化したのも欧州国家の成長がとまらないように行われたのでした。

しかし、そう簡単にはことは進みませんでした。その反動がその後おきて、世界はまた違った局面を迎えるのです。その話は次回に