少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№225📕人類は物語で正当化し支配する術を知った

お元気ですか。少年シニアです。前回人間だけが虚構の物語をつくり。それを信じることによって、組織を維持し人々を支配する道具として活用することを述べました。当初は小集団単位に限定された神話にとどまっていましたが、次第に宗教(主に一神教)がその役割を果たすようになります。

 

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

 

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 そういう意味で最も大きな役割を果たしたのは、やはりキリスト教でしょう。キリスト教徒たちは、彼らの構築した世界を、自分たちの住むエリアに留めませんでした。どんどん全世界へ普及活動を行ったのです。ただ、その普及活動の背後には、暴力の存在がありました。ご存じの通り、キリスト教一神教です。他の宗教はいっさい認めません。マゼランが世界を周回し、フック船長が航海する過程で、彼らは武力によって先住民を殺戮、また管理化におき、自分たちのつくった物語を徐々に彼らに信じ込ませました。

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 その物語には一辺の真理があったのでしょう。また普及活動の中で、身にうまみに先住民に物質的な恩恵を与えたこともあったのでしょう。真剣にキリスト教の布教が先住民に幸福をもたらし、西洋化することが物質的な利益にもなると信じていた者もいたことでしょう。しかしそれはやはり欺瞞にすぎません。イスラム教や仏教も自分たちが住む周辺の地域への布教は、それなりに行っていたでしょう。しかし、キリスト教徒は、大海を横断するというリスクを背負ってでも、普及活動を行いました。しかしそれはキリスト教会だけの力学で行われたわけではありません。そんな資金を彼ら単独でまかなうことは不可能です。その背後には帝国という存在がありました。

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 帝国の物質的な利益と教会の精神的な利益とが結びつき、キリスト教の布教は、進んだ帝国の使命であり、それは野蛮な生活にとどまっている物質的にも精神的にも満たされていない先住民たちのためでもあるという物語をつくりだし、それを信じた人たちが大海を渡るというリスクをとらせたのです。もちろんダーウィンのように未知の世界や動植物を知りたいという好奇心から、航海に参加した者もいたでしょう。しかし、それは多くの未知の地域で悲劇を生み出しました。

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 オーストラリアでのタスマニア人たちは、西洋からの物質的・精神的な要求をすべて拒否して戦うということを選択して全滅しました。しかし、タスマニア人のように徹底抗戦した者たちはなく、数十年で侵略者の支配に屈してしまいました。侵略に参加した人々は、自分たちの崇高な使命を果たすことができ、大いに満足したことでしょう。

ほとんど人はそれらしい物語をつくられると安易に信じてしまい、権力の手先になってしまう怖さを感じます。それが、他の動物と違って、動物としての本能を弱め精神をもってしまった現生人類の進化のなれのはてとしても・・・。

 

 次回は、こうした帝国と宗教の二大権力が、いとも簡単に未開の地を支配できたそのバックボーンについて、私の所感も交え本書の著者ノア・ハラリの持論を紹介したいと思います。