少年シニア 55歳から学ぶ理科

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№224📕神話という虚構を生み出した定住生活

お元気ですか。少年シニアです。前回現生人類の世界への拡散が、様々な動物(特に大型哺乳類)への絶滅につながったことを記しました。しかし、現生人類は、その後、狩猟生活から農耕と家畜をベースにした定住生活をはじめました。当初は農耕・家畜を主に生きる者と従来通り狩猟生活を主に生きる者も交じり合っていたと思いますが、次第に定住をベースにした農耕・家畜を生活の糧とする者が増えてきました。

この農耕・家畜の生活は現生人類の未来に大きな影響を与えました。まさに現生人類の岐路が、この農業・家畜の生活です。今回はこのことについてホモサピエンス史で書かれたことを主に話を展開させたいと思います。

 

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

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   狩猟生活は、ある意味その日暮らしです。そのリーダーも短期的なことは考えても中長期的なことは考えていなかったでしょう。また群れも家族中心で、せいぜい10人から15人程度のグループで行動していたと考えられます。また、移動生活ですから、多くの子供は移動にある意味邪魔な存在なので、数年に一度しか子供を生まなかったようです。そのため狩猟生活が主の時代は人口の爆発は起きませんでした。確かに火を使い道具を使う現生人類は、他の動物にとって危険な存在であったにせよ、地球単位の生態系に影響を与えるような存在ではなかったでしょう。

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 しかし農耕や家畜の定住生活は違います。田畑を所有することで人はそう簡単に移動できなくなりました。例えば近くのグループと争いがあっても、勝てそうもないとわかっても簡単に移動するわけにはいきません。狩猟生活であれば、数少ない財産をもって退散して違うところに居を構えることができたでしょうが、最大の財産である田畑をそう簡単には放棄するわけにはいかないのです。こうして土地をめぐる小集団同士の暴力や争いが日常化します。そうなると戦いに勝つためのリーダーが求められ、戦うための武器が必要とされ、その武器をつくる専門集団が必要になります。またそうした道具を流通させる集団も必要となります。こうして小集団は次第に大人数の集団へと発展していきます。それが最終的には、帝国という巨大な組織へと発展していきます。

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 著者によると現生人類は虚構を信じることができる唯一の生物だそうです。狩猟で生活している時代にも一部の動物を崇めるアニミズムというものは存在しましたが、その規模は些細なものであり、その影響範囲は自分たちの身内の間に限られていたと思われます。ところが、定住生活がはじまり、そこに田畑を守る組織ができ、小集団が大集団になり最終的に帝国へとつながる過程で、これまで全くであったことのない者とも同じ価値観を共有し協力しあうための神話が必要となりました。

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 そして、そのために権力者側にいる人々は神話をつくり、その神話という虚構によって違う人々をあたかも同じ同胞かのように思わせコントロールしたのです。著者の言を借りれば今の株式会社も同じです。彼はブジョーという大会社を例に論を展開していますが、ブジョーでさえも実体はなく虚構の存在であると彼は断じます。私はいくらかの会社の株を売買していますが、同様のことを感じます。株価は毎日変動します。様々な要因で株価は変動しますが、昨日のその会社と今日のその会社に特に大きな変化がなくても株価が全く同じということはほとんどありません。何も変わっていないのに会社の総資産が変わるのです。そしていったんこの会社は危ないという風評がたつと実際の売上はそう悪くなくても株価は急落し、株価が急落すると売上や利益が減少するという悪循環に陥り、短期間で会社は消滅することもあるのです。

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この虚構を信じて大集団が一致協力しあうベースをつくったのは農業・家畜をベースとした定住生活だった。そのことを指摘した著者の視点には大変興味をもちましたし、腑に落ちる部分がありました。

次回も虚構を信じる現生人類についての特性について記したいと思います。