少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№186📕ホモエレクトスは偉大な長距離ランナー

お元気ですか。少年シニアです。

人類の進化を証明するのは化石だけではありません。我々の身体の構造そのものに

進化の足跡がみられるのです。約180万年ほど前に出現したホモエレクトスの人体

は、先輩のアウストラロピティクスには見られない特長がありました。

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    まず脚の長さです。脚の長い人と短い人の移動コストを比べると、断然脚の長い人が低く少ないエネルギーで遠くまで移動できます。ホモエレクトスは、脚を長くしたことでアウストラロピティクスより移動範囲を拡大することができ食糧確保の確率を大いに高めたでしょう。

それに加えて足裏の「土踏まず」の発達です。「土踏まず」のばねの働きでゆっくりながら走ることができ、さらに移動コストが低くなったのです。そのうえ体毛が以前にくらべ少なくなり、代わりに無数の汗腺が発達しました。これにより長時間走っても短時間で身体を冷やすことができ、ホモエレクトスは「優れた長距離ランナー」へと進化しました。

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 発達した大殿筋は走行中もぎゅっと収縮して一歩ごとに胴体が前のめりになるのを防いでいたことが読み取れます。また内耳の三半規管の発達は平衡感覚が強化されていたことを示しており、走る際に頭が上下左右に動いてもバランスをくずさず走ることを可能としました。また以前よりくびれたウェストは、走行中も腰や顔とは無関係に胴体をひねることを可能にしました。このようにすべての肉体が「優れた長距離ランナー」にむけて進化をはじめます。

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 長距離を走ることのメリットはなんでしょう。それはずばり草原に棲息する動物を狩れることです。当然短距離ではホモエレクトスは動物たちに敵いません。しかし長距離になると話は違ってきます。汗腺のない動物たちは長い距離をずっと走ることはできません。身体を冷やすために休息しなければならないのです。そこに追いつき丸太棒などを使っていっせいに襲うという算段です。また腐食を漁る禿鷹などを追って行き、そのおこぼれにありつくこともあったでしょう。あわせて長距離を走りぬく能力は天敵の肉食獣から逃げるのにも役立ったはずです。

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 こうして獲得した肉は植物に比べ少量で大きなエネルギーをもたらしてくれます。そのエネルギーを我々のご先祖は脳に投資しました。単なる2足歩行では脳を拡大させることはできませんでしたが、ホモエレクトスは長期移動や狩りによって得た肉によって、最終的に脳の容量をアウストラロピティクスの約2倍以上に拡大させたのです。さらに自由になった両手を使って、肉を切り裂いたり、獣を襲うための簡単な道具を作ることで、より脳が発達していきます。

当然、狩りでの食糧確保だけでは生命の維持は困難だったので、植物の採集はあわせておこなわれたのでしょうが、長距離走行能力を生かした狩り、それにともなう肉食の進行、この流れがその後の人類の劇的な進化をうながしていったのはまちがいないようです。

 


人類のルーツへの旅③ ヒト属ホモ・エルガステル、ホモ・エレクトゥス