少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№184📕一筋縄でいかない人類の起源

お元気ですか。少年シニアです。

ヒトの歴史をもっとも明らかにしてくれるのは、なんといっても化石ですが

これはそうたやすく見つかるものではなく、古人類学者の苦労はなみたいてい

のことではないようです。仮に見つかっても、保存状態もひどく復元してこれが

ヒトのものであるかどうかを見極めるにも大変な時間と技術を要します。

だからこそ人類のルーツに結び付くような化石を見つけると、その歓びは我々の

想像を絶することになります。それが古いものであれば古いほど・・・。

最初のヒト

最初のヒト

 

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 前回のブログで600~700万年前のヒトの化石と言われるトウーマイについて、疑義を抱いている学者もいるということをお伝えしました。その最右翼が、約600万年前のヒトの化石と言われる「オロリン」を発見したフランスの古人類学者ピクフォードとセナの2人です。セナなどは、「トウーマイ」をメスのゴリラの先祖だとしています。類人猿の犬歯はオスにくらべてメスは小さいので、その可能性を示唆したのです。彼らの立場としては、自らが発見した「オロリン」こそが、現段階で最古のヒトの化石であってその座をトウーマイに譲るのは耐えられないのでしょう。

彼らは、さらに「オロリン」はアウストラロピティクスへとつながる存在ではなく、アウストラロピティクスは我々の直接的な祖先ではなくオロリンこそが現在の人類にむすびつく存在であることも併せて主張しています。

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 一方、ピクフォードやセナの「オロリン」に疑義を抱く学者も多くいます。たとえば440万年前のヒトの化石と言われ、「トゥーマイ」や「オロリン」の存在が明らかにされるまでは、ヒトの最古の化石といわれていた「ラミダス猿人」を発見したアメリカの古人類学者のホワイトです。「オロリン」の化石で注目すべきは類人猿にはみられない溝が残る大腿骨でしたが、ホワイトはピクフォードやセナが実物写真やX線画像など自説を裏付けるための十分な証拠を示さないことに不満をあらわにして、彼らが真の科学者であるならば、より精度の高い証拠を多くの専門家に示して査証を受けなければならないと主張したのです。

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 実は「ラミダス猿人」の最初の化石である歯は、日本人の学者が発見しています。その名は諏訪元でホワイトのチームの一員でした。その後、全身骨格の化石が発掘され、ラミダス猿人はトゥーマィやオロリン以上の精度で復元されました。ただ、化石自体の保存状態は非常に悪く復元にはかなりの時間を要しました。ラミダスの足にはまだ土ふまずがなく親指も他の指と対抗していて樹木に掴まるような形をしていたことから、骨盤からは二足歩行はしていたとみられるものの、大半の時間は森林地帯の安全な樹木の上で過ごしていたのではないかとされています。

また、こちらはアウストラロピティクスへの特長はみられるものの、同じ属とするには違いが多く、アルディビテクス属という新たな属が設定され、最古のヒトがアウストラロピテクス属ではないことを宣言しました。

「サイエンスラミ...」の画像検索結果

↑2009年 科学誌「サイエンス」の表紙を飾る「ラミダス猿人のアルディ」

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 このようにヒトの化石の調査研究については、その精度の強弱もあって一筋縄でいかないようです。これも歯以外の化石がなかなか見つからないこと、また調査対象が自分たちの祖先ということで科学の世界とはいえ様々な感情がそこにはいりこんでくるのでなどが起因しているように思います。

しかし、こうした研究者間の激しい論争や競争心があるからこそ新たな発見があり、それを裏付けるためのハードルが高くなり、より真実への扉が開かれるのだと思います。