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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№183📕 トゥーマイは我々に何を語るのか

お元気ですか。少年シニアです。

私がまだ高校生だったころ、最初のヒトは約300万年前に生きた「アウストラロ

ピティクス」と学校で習いました。ところがその後の化石の発掘で、次々にヒトの

誕生時期は遡り、現在では500万年前から700万年前というのが通説となっています。

とりわけ最初のヒトとして有力視されている「サヘラントロプス・チヤデンシス」

(通称:トゥーマイ:現地ゴラン語で生命の希望という意味)の頭蓋骨の発見は、

人類進化のシナリオについて2つの意味で世界に大きな衝撃を与えました。

 

人類の原点を求めて―アベルからトゥーマイへ

人類の原点を求めて―アベルからトゥーマイへ

 

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    2001年にトゥーマイが発見されるまで、人類の起源は、次のような「イーストサイド物語」で語られていました。

今から800万年ほど前、アフリカの大地溝帯が形成されたことで、その東エリアに著しい気候変動が生じ雨が減り熱帯雨林からサバンナが広がった。この地にいたチンパンジーと人類の共通先祖はこの樹木の少ないサバンナで生きぬく際に、2足歩行の能力をもったものが生存面で優位となり、人類へと進化した。一方、大地溝帯の西側は熱帯雨林が残り、共通祖先はより熱帯雨林に適応したチンパンジーやボノボへと進化した

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 冒頭、トゥーマイの存在は2つの意味で大きな衝撃と記しましたが、まず1つめは、この発見により人類の起源が700万年まで遡ったことです。

そしてもう一つの衝撃は、トウーマイの発見地がこれまでのアフリカ東部ではなく、アフリカ中央部のチャドだということです。アフリカ東部のケニアエチオピアのエリアから誕生し、その後に周辺に拡散していったとするイーストサイドストーリーに大きな疑義がもたれることになったのです。

「トゥーマイ猿人...」の画像検索結果

愛地球博プレスリリースより)

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 実はトゥーマイを発見したフランスの古生物学者のブリュネは、以前チャドの砂漠エリアで約360万年前の猿人化石「アベル」を発見していました。アベルはその後の調査でアウストラロピテクス属の猿人であることが判明し、大地溝体の誕生以降も猿人がその西部にも生存していたことが明らかになり、人類の活動エリアが大幅に拡大されたのです。ただ、当時の人類の起源はアフリカ東部で発掘されたラミダス猿人の約440万年前とされており、アベルの発見は誕生時期の疑義に及ぶものではありませんでした。

しかし、アベルの発見は、ブリュネにチャドからこれまでの通説を覆すような人類化石のさらなる発見あるのではという予感を与えます。その中で2001年、ブリュネの予感は的中し、人類の特長を備えた700万年前の頭蓋骨(トゥーマイ)が発見されたのです。

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 トゥーマイが発掘された砂漠エリアは、700万年前は今とまったく異なる緑豊かな熱帯林だったことが、一緒に発掘された動物化石から明らかになっています。近くには大きな湖もあって、その岸辺に彼らは暮らしていたようです。人類の祖先は森林と草原と水辺が混在するという採食エリアを拡大するには絶好のロケーションで、時間をかけて2足歩行の能力に磨きをかけたのかもしれません。

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 ただトゥーマイについては頭蓋骨のみの発見ということもあり、2足歩行の確定的な証拠は弱いこと、またDNAの解析作業では人類とチンパンジーが分岐したのは約500万年前頃というデータが発表されたこともあり、現段階で最古のヒトとして認めることはできないと主張する学者もいます。

真実を知るためには、まだまだ地道な発掘活動を継続して、より精度の高い化石を見つけるしかないでしょう。それは本書でもブリュネが強く主張しています。人類進化の謎に終わりはないのだと。

これからも進化の真実に迫る学者たちの挑戦は続きます。