少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№180📕チンパンジー文化の伝承のキーは?

お元気ですか。少年シニアです。

チンパンジーを長年研究してきた松沢氏が、最初に研究所でチンパンジーのアイ

に会った時に、驚いたことが2つあるといいます。まず1つは松沢氏がアイの目

をみたときに、アイが松沢氏の目をじっとみたこと。これは通常の猿には見られ

ないことだそうです。もう一つは松沢氏が腕にはめていた袖当てをアイに手渡し

たところ、アイが自分の腕に袖当てを通して、またはずして松沢氏に返したこと。

この模倣するというところも一般の猿には見られず、人間に近い行動です。

実はDNAの点からもチンパンジーに近い存在は我々ホモサピエンスであって、

旧世界ザルや新世界ザルではないことが明らかになっています。

 

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

 

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 そういえば動物園でも類人猿のオラン・ウータンやチンパンジーは親子が見つめ合っている姿が見られます。精神というものは、まずは他者の存在によって育まれるものだと思いますが、一番最初に遭遇する他者と言えば「母親」に他なりません。おそらく母親と子は目をみつめあうことで、お互いの存在を認め合い絆を強めているのでしょう。

特にチンパンジーの場合は、他の動物に比べて圧倒的に育児の時間が長く(何と3歳半ころまで母乳を吸う)、母子関係の質は極めて重要になります。チンパンジーの妊娠は5年周期なので生後の5年間は、母子はいつも一緒におり、子は母親を独占し、その間に様々な生きるすべを母親から学ぶのです。

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 母親から学ぶすべは、母親の行為を真似ることが基本となります。チンパンジーの母親は、人間の母親のように手取り足取り教えることはないのだそうです。放っておいても子供は、母親の様子をうかがい真似をしようとします。木の枝によるシロアリ釣りも石を使ってのクルミ割も真似をします。なかなかうまくいかない場合もありますが、母親は特に反応しません。ただ子供の方は母親と同じ行為をすることで、うまくいった場合の喜びや、逆の場合の腹立たしい気持ちを共有し、他者の気持ちを理解するようになると言います。

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そんな強い絆をもつ母子ですから、育児期間に片方が死ぬと大変な状況が発生する場合もあるようです。年嵩の母親が老衰のためなくなって残された子は鬱状態になり、その2週間後になくなってしまったケースもあるとか。ただこのケースはかなり例外的なことで、多くの場合は群れの中の親族たち(特に姉)が母親代わりになって面倒をみるのだそうですが・・・。

 


Cute! Chimpanzee mom and child.チンパンジー母子。

 

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 チンパンジーは父系社会で、一定の年齢に達すると雌が群れからでていきます。雌は違う群れにはいり繁殖の機会をうかがうのですが、雌は自分の身体だけではなく自分が生まれ育った群れで学んだ文化行動もいっしょに携えて移動することになります。これがチンパンジーの文化の伝播の源になっていると著者は指摘しています。人類においても、人の移動が新たな文化を産む原動力になるのですが、チンパンジーの場合は雌がその役割を果たすというわけです。そして文化の伝播や継承は、他者の存在を認め時に許容するという根底がないと成り立ちません。

チンパンジーは雄の力が強い社会と言われていますが、どっこいここでも進化の鍵を握るのは雌のようですね。