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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№176📕芸術家も愛したテナガザルの品格

新第三紀

お元気ですか。少年シニアです。

人間の親戚といえば、チンパンジー、オランウータン、ゴリラと答えが返ってきますが

なかなかテナガザルという答えは返ってきません。同じ尻尾がなく二足歩行する類人

猿のグループなのですが、どうも影が薄い印象です。でも知れば知るほどむしろテナ

ガザルこそが一番人間に近い存在なのではと思うようになりました。

中国人も古来よりその点を肌で感じ、テナガザルに畏敬の念を感じていたようです。

今回は我々の親戚、テナガザルのお話です。

【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】中国のテナガザル

【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】中国のテナガザル

 

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 テナガザルは「森を歩く者」という異名の通り、ほとんどの時間を樹の上で生活しています。身体もほっそりしてブラキュエーションという身体を前後に揺すって枝から枝へと移っていく方法(運動神経のいい子供が雲梯でやっているよう)で、森の中を渡り歩きます。木の下に降りることは殆どありません。

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その点、地上に降りた人間とは行動様式が大きく異なるようですが、他の類人猿より人間に似ている点もあります。例えばテナガザルは一夫一婦制で死ぬまで添い遂げます。この点乱婚のチンパンジーやハーレムを造るゴリラや単独行動をとるオラウータンとは異なります。また、独特の鳴き声で頻繁にコミュニケ―ションを使って情報のやりとりをしていることも人間社会との類似点が見られます。彼らは同じ分布圏と穏やかな関係を保ち、そうした家族同士が一緒になって群れを構成します。そして年長者は他の者に対して保護的な立場をとり、危険が迫ると大声で警告音を発し、家族全員が助けに馳せ参じてきます。こうした家族や縁故中心主義も人間社会との共通点が見られます。

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 また食事の様子も人間と似ている点が多いようです。主食は果実ですが、歯で皮をむき種子や腐った部分を捨ててきちんと食べます。また、群の年長のボス的なテナガザルが、他の連中の前でこれ見よがしに腹いっぱい食べることもないそうです。

 このような人間との共通点や礼儀マナーを重んじるテナガザルを古来から中国では、他のサルとはっきり区別していました。実は古来の中国では「猿」はテナガザルを意味しその他のマカク類のサルは「猴」と記して完全にわけていたとされています。

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 そればかりか、殆ど下界に降りてこず、奥深い静かな森の樹上でひっそりと家族とともに生活をしているテナガザルの姿を人間のあるべき姿として評価しました。優れた芸術家たちもテナガザルを題材にした詩や絵画を好んで制作しました。彼らの優雅な動きとその悲しげな鳴き声が、芸術家 とりわけ詩人の心をとらえたのです。あの詩仙李白もその一人でこんな詩を創っています。

 

朝に辞す白帝彩雲の間  

千里の江陵一日にて還る

両岸の猿声啼きて尽きず 

軽舟すでにして過ぐ万重の山

 

家族の間で交わすテナガザルたちの鳴き声を聞いて、遠くに残してきた家族を思い出したのでしょうか、長い長い旅の孤独を思ったのでしょうか。切ない気持ちがひしひしとこの詩から伝わってきます。

 

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 先日、動物園でテナガザルを見ました。子ザルは片時も母親から離れず、父ザルは少し離れたところでその様子を見守っていました。その情景はまさに一昔前の人間の典型的な親子の姿でした。わたしはほっこりした気持ちになって、なかなかその場を立ち去ることができませんでした。

 

↓ 大車輪は内村航平も真っ青かな?


シロテテナガザルの大車輪