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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№175📕木登り名人のホエザルが木から落ちる理由

お元気ですか。少年シニアです。

霊長類の進化をみてみると、まずロリスやキツネザルなどの原猿類が誕生し、そこから

真猿類という今の猿に近いグループが派生しました。そしてその真猿類も、鼻がまるく

中南米に棲む広鼻類(新世界ザル)と、鼻が狭くアフリカやアジアに棲む狭鼻類(旧世

界ザル)に枝分かれしました。我々の祖先である類人猿も大きく言えば旧世界ザルのグ

ループに属し、個体数では旧世界ザルが新世界ザルを圧倒しています。

ただ、新世界ザルは非常にユニークなものが多く、それは彼らが棲む中南米の熱帯林の

多様性によるところが大きいといいます。本日は新世界ザルのお話です。。

サルが木から落ちる―熱帯林の生態学

サルが木から落ちる―熱帯林の生態学

  • 作者: スーザン・E.クインラン,Susan E. Quinlan,藤田千枝
  • 出版社/メーカー: さえら書房
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本
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 新世界ザルのひとつに「ホエザル」がいます。ホエザルは太くよく響く声を吠えるようにして出すことで、群れの中でコミュニケーションをとっています。木登りの名人でもあり、枝の間を3mも飛渡って好きな葉や果実を目当てに木から木へと飛び移っていきます。実はホエザルは結構好き嫌いが激しいらしく、どんな葉や実でもいいというわけではありません。そのため飛び移る木の数も多く、自然と行動半径も広くなります。そのため、ホエザルの糞の中にある種子が、広範囲にわたり拡散し発芽することで、ホエザルは緑豊かな森づくりに大いに貢献しているそうです。

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 ところが本書の題名にもあるようにこの木登り名人のホエザルが木からたまに突然落ちてしまうことがあるというのです。別に眠ってうとうとしてというわけではないし、病気やケガというわけでもありません。元気に活動していたホエザルが突然落ちるのです。時にはそのまま死に至ることもあるそうです。これはどういうわけでしょう。

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 観察調査の結果、どうも毒のある植物を食べその毒がまわって意識不明となり木から落ちるケースがあるということがわかってきました。

植物が自己防衛のために毒をもつことは珍しくもなく、ホエザルもその点はちゃんと理解しています。少量の毒は寄生虫の駆除に役立つので、あえて毒の葉を食べることもあるといいます。毒のある葉はどれか、少量なら食べていい葉はどれかを選びだすことはホエザルに欠かせない能力であり、そのためホエザルは普段から少量の試食を繰り返しながら。その選別能力に磨きをかけているのです。

 ところが実は植物がつくりだす毒の量は、1年のうちの季節によっても育つ条件により違っていて、いくつかの植物は葉や小枝を動物に食べられたあとは、それまでより多くの毒をつくるのです。この変化がホエザルの運命を決めてしまうというわけでした。

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 熱帯はサバンナや砂漠や温帯に比べると複雑で、そのため多様な生態を生み出していると言われます。熱帯に棲む動物の個体数とその他のエリアの個体数の比率にくらべ、生物多様性を示す種の比率は熱帯が他のエリアを圧倒しているのです。(面積で言えば陸地の7%にしかすぎない熱帯林に50%以上の種の生き物がいるそうです)

その理由はいまだにはっきりしていないようですが、同じ熱帯であっても地域によって気候や地形が異なり、そのため多様な植物が育ち、それで植物に依存する動物も多様化が進むのではないかという説が有力です。

ですから今問題となっている熱帯雨林の減少は、ホエザルの生活を脅かすだけでなく、そこに棲む動植物の多様性を即奪うことになります。今後熱帯雨林の減少にどう歯止めをかけ地球環境の安定化と生物の多様化を維持していくかが、その状態を作り出してきた我々人類に強く問われています。

 

 ↓ホエザルの迫力ある声、熱帯雨林の減少に彼らも憤っているのではないでしょうか。


Red Howler Monkey Howls at Senda Verde Animal Refuge Bolivia