少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№167📕哺乳類が天国だった時代

 お元気ですか。少年シニアです。

哺乳類天国という本を読みました。隕石落下という突発的な事件によって、食物連鎖の頂点に約1億5千万年近く君臨していた恐竜が絶滅し、それまで恐竜の陰に怯えながら小さな身体で何とか雨露をしのいでいた哺乳類が、次第に勢力を拡大していった様子がィェ―ル大学のピーポディ自然史博物館に描かれているそうです。

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その壁画の名は、「哺乳類の時代」。しかし、この壁画を注目する訪問者は少数で、大多数の人は、大ホールに飾られた恐竜を中心とする「爬虫類の時代」がお目当てなのです。「哺乳類の時代」は大ホールの裏の薄暗い部屋にひっそりと飾られていると言います。

少しへそまがりな本書の著者ウォレスは、この人気の乏しい「哺乳類の時代」にインスピレーションを受けて、恐竜後に哺乳類がどんな経路をたどって今に到ったのか、またそのことに強い好奇心と情熱を注いだ学者について本書で詳細に記しています。

哺乳類天国―恐竜絶滅以後、進化の主役たち

哺乳類天国―恐竜絶滅以後、進化の主役たち

 

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  ただ、注意しなくてはならないのは、哺乳類といっても、この壁画に描かれているのは人類以外の哺乳類であって、我々人類はその中に描かれていないことです。本書のタイトルとなっている哺乳類天国というのは人類が誕生するまでの状況をさしているのであって、人類の進化とともに人類以外の哺乳類はまさに受難の時期を迎えます。

おそらく、この博物館の「哺乳類の時代」が人気がないのも、我々人類の姿が見当たらず自分の問題としてとらえられていないからでしょう。どうせ我々との結びつきが感じられないなら、その巨大さで他を圧倒する恐竜の世界をみている方がワクワクすると誰もが思うでしょうから。

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 しかし、そこにまだ人類の姿が見当たらなくとも、それまでの哺乳類の姿をあらためてみていけば、いま人類の脅威にさらされながら細々と生きている現生の哺乳類につながる個性的な哺乳類の姿を見かけることができるでしょう。白亜紀以降に生命をつないだ哺乳類は、大陸の衝突・移動や火山活動等による大きな気候変動に翻弄され絶滅を繰り返しながらも、何とか生命を引き継いで現在に到ったのです。

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 そして本書には、この時代に哺乳類の繁栄・大型化をうながしたのは、恐竜の絶滅やまだ人類が登場していないことに加えて、被子植物が格段に進化し多様化したことも指摘されています。当然哺乳類は、喰うもの喰われるものの関係で成り立つわけですが、とりわけ喰われる側の生き物が繁栄しなければ、喰う側の繁栄は成り立ちません。その意味で、被子植物の進化が、草食動物にとって繁栄のための原動力になったことは想像に難くありません。

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 この哺乳類の天国の時代においても生命の進化の鍵を握っていたのは植物だったのでしょう。白亜紀の大量絶滅においても植物は動物と比べて耐性が強く、絶滅の度合いも動物に比べると低かったと言います。植物は、いち早く回復し、白亜紀時代以上の進化・多様化を実現していったのです。

そして昆虫が哺乳類に先立ち、被子植物との共進化をはかり繁栄しました。そしてそれらを食べる小型獣や鳥類が進化し、またそれらを餌にする大型肉食獣が繁栄していく。このサイクルこそが自然の掟でした。

しかし、人類の登場でその不文律がどうもあやしくなり、決して哺乳類の天国といは言えない現在の状況を哺乳類の一員である人類が創り上げてしまったのは何とも皮肉なことと言えるでしょう。