少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№165📕ユニークさとニッチに活路を求めたコウモリ

お元気ですか。少年シニアです。

自力で自由に飛ぶことができる唯一の哺乳類。それがコウモリです。

コウモリのユニークさは、海に戻ったクジラやイルカ以上のものがあります。

また自然対応能力は素晴らしく、南極などの極地以外にはどこにでも生きています。

そんなコウモリですから種の数は約1000。これ哺乳類ではネズミ類に次ぐ多さです。

最古のコウモリの化石は約5200万年前の地層から発見されており、その化石にはち

ゃんとしたつばさがあったので、実際は6000万年くらいから存在していたのではな

いかと思われます。特殊な身体のわりにコウモリの歴史は古いのです。

原生林のコウモリ 改訂版

原生林のコウモリ 改訂版

 

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 本書はそのコウモリの魅力に憑りつかれた小学校教諭の遠藤先生のコウモリの研究記録です。時は昭和30年、若干22歳の小学校教諭の遠藤先生は、岩手の過疎地の分校の教師として働き、地元の村人やその子供たちと触れ合う中で、この過疎地の自然がいかに素晴らしいかを実感するのです。そして子供たちの豊富な自然への知識にも舌をまくようになります。

 そんなある日、教え子の輝男が死んだコウモリをもってきました。「ネズミケェモリ」と笑って名前を教えてくれました。これが、遠藤先生がコウモリに嵌る契機になりました。そしてさっそく遠藤先生は、こどもたちにイソップ童話のこんな話を聞かせたのでした。

           

 けものと鳥が2つにわかれて大戦争したとき、コウモリは旗色のよい方を飛び回りました。鳥が勝ちそうになると、つばさがあるから鳥だといい、けものが優勢になるとネズミの仲間だと言ってけものに入りました。やがて争いが収まって鳥とけものが仲直りしたとき、コウモリはどちらも仲間はずれにされてしまいました。それで、日が暮れてからでなくて。出歩くことができなくなったということです

 

そして、授業は「コウモリは鳥かけものか」という問いかけにつながっていきます。すると生徒の一人が「おら、乳の大きなコウモリとったことがある。乳のある鳥ずものあるわけがねぇ」と言いました。豊かな実体験を通したやりとりによって、見事にコウモリが哺乳類であることを解き明かしたのです。

何と素晴らしい授業でしょう。教師が一方的に本に載った知識で教えるのではなく、こどもたちの知恵や知識も交えて、真実にせまっていったのです。

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 少し話しはそれてしまいましたが、それほどコウモリは人間の好奇心を駆り立てる存在なんですね。コウモリは視力は極めて弱い生き物ですが、自ら出す反響音から獲物や敵の存在を確認し、超音波レーダーをもとに小さな昆虫などを食べます。夜間こそが、彼らの武器を生かして狩りができる時間なのです。

さらにコウモリの飛行はモモンガやヒヨケザルのような単なる滑空ではなく、腕や指を動かして翼の形を自由に調節し尾翼も動かすことで、鳥にもできない旋回や宙返りもするようで、こうした能力は身を守ったり相手を追い込む点においても大きな武器となるでしょう。これだけの自由度はコウモリならではのもので、そのため非常に身体が軽くなっています。翼を広げると20㎝もあるコウモリの体重は何と6gしかないそうです。

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 コウモリは進化の過程で身体を軽量化し飛行能力を獲得した上で、夜の闇の世界に生き場所を求め、世界の到る所で1000種以上の種をもつまでに発展していきました。

コウモリを知るにつけ、ユニークさとニッチに活路を求めるオンリー1戦略は侮れないなと思った次第であります。

 

↓ 私も今年3月に訪れた小笠原の固有種「オガサワラコウモリ」


【4K】オガサワラオオコウモリ


オガサワラオオコウモリの飛翔