少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№155📕愛しき我らのスローロリス

お元気ですか。少年シニアです。

今回は我々霊長類の中では、最も遠縁にあたる現生の生き物のお話しです。

まず霊長類は、鼻が丸い曲鼻のグループと 鼻が真直ぐのびた直鼻のグループにわかれ

ました。(我々人間をはじめ、いわゆるサルらしいサルは直鼻のグループです)

したがって我々の最も遠縁にあたる霊長類は曲鼻のグループの生き物になります。

歌でも有名な「アイアイ」も曲鼻グループですね。今回は、アイアイに負けず劣らず

愛らしい曲鼻グループのスローロリスを紹介します。  

握手するスローロリス―人工飼育で育った小さなサルのハリー (文研ブックランド)

握手するスローロリス―人工飼育で育った小さなサルのハリー (文研ブックランド)

 

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 スローロリスは、インドネシアマレー半島の森に生息していて、体長は30〜40センチ程度、体重も2キロに満たない小動物です。夜行性なので昼間はほとんど寝ています。樹上にいますが、ほとんど動かず動きもスローなのでスローロリスといいます。木を頻繁にとびまわることもないので、尻尾も退化してしまっています。

こんな外見や行動様式から、サルの仲間ではなくナマケモノの仲間として認識されていた時代もあったようです。

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 こんなスローロリスは、絶滅の危機にある生き物で、そんなことからいずれは動物園でしか見られなくなる可能性もあるといいます。

 本書「握手するスローロリス」は、日本の動物園で初めて人間によって育てられたスローロリスの「ハリー」と、ハリーを愛情をもって育てた「愛媛県とべ動物園の飼育係さんたち」の交流を描いたものです。

ことの発端は、ハリーの母親の「ナイン」が出産後体調不良に陥り、育児ができず亡くなってしまったことでした。またハリーは通常の4分の1の体重に満たない27グラムの未熟児でした。そこで飼育担当の好永さんが母親となって育てることを決意し、開園時は動物園で、閉館後は好永さんの自宅でハリーを育てることにしたのです。

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 最初の課題は授乳でした。どんなミルクなら又どんな方法なら飲んでくれるのか。まず好永さんは注射器の針のかわりに点滴に使う細いゴムのくだをつけて吸い口にして人間の赤ちゃん用の粉ミルクを溶かして与えようとしましたがハリーは吸いつこうとしません。そこで好永さんは自分の指にミルクを垂らして、それをさらにハリーの指にそえて飲ませました。そうするとハリーはようやくミルクを飲んでくれたそうです。注射器の針よりも生き物の体温を感じたことで安心して飲めたのでしょう。

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 さらに排便という課題が待ち受けています。生まれて一か月ぐらいは自力で便を出すことができず、通常は母親が子のお尻をなめて排便をうながすのです。そこで好永さんはティッシュでお尻を刺激しました。こちらは大成功で小さな便がでました。

その後、ハリーの担当は好永さんから山崎さんに変わりますが、山崎さんの自宅でも下痢をしてやせ衰えてしまったり、飼育箱の中から姿をくらましたり、木登りを教えようとしても、なかなか登ろうとしなかったりと、ハリーを育てるのはとても大変だったようです。しかしハリーは次々に課題を克服し、動物園では「握手するスローロリス」として大変な人気者になりました。

 生まれたときから人に育てられたので、人間を恐れずむしろ懐いていたからでしょう。飼育さんたちのたゆまぬ飼育技術と深い愛情にささえられてハリーは10歳まで元気に生きました。 

 こちら円山動物園スローロリスは無事母親が世話をしています。可愛いですね。


Slow Loris Baby~スローロリスの赤ちゃん 授乳