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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№154📕「ハダカデバネズミ」の恐るべき団結力

古第三紀

お元気ですか。少年シニアです。

前回、我々霊長類と最も近縁なのがヒヨケザルというお話をしました。それでは、

他に、比較的霊長類に近いグループの動物にはどんなものがいるのでしょうか。

 それは、ネズミやリス・ウサギが属するグリレス類の動物たちです。

リスやウサギはともかくとして、ネズミが好きな人はあまりいませんが、実は

我々が好む犬や猫よりも進化系統的にはネズミの方が我々に近い存在なのです

今回はこのグリレス類で独自の社会性を築いた「ハダカデバネズミ」のお話です。

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)

 

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 文字通り体毛がなく、ハダカで出っ歯のネズミということで命名された「ハダカデバネズミ」。しかし実はネズミよりヤマアラシに近い生き物です。そして見た目以上にユニークなのが、その繁殖体制。何とミツバチやアリ同様、女王しか子供を産まず、その他のメンバーはひたすら女王の繁殖と生存をサポートする唯一の哺乳類です。彼ら巣穴の中では、繁殖のための凄まじいドラマが展開されているのです。

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 ハダカデバネズミの組織は4つの階層から成り立っていて、その頂点に君臨するのが、ただ一匹の女王です。この女王は、ミツバチやアリの女王のような最初から特別な栄養を与えられた選ばれし女王じゃありません。厳しい戦いを勝ち抜き、ようやく女王の座を勝ち取るのです。そして女王は常に巣穴をパトロールして将来ライバルになりそうなものを威嚇して、自分以外の雌の繁殖能力を抑制させるといいます。

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 そして女王に次ぐ地位を占めるのが、女王の繁殖相手となる複数の王様たちです。ただ王様と言っても、最強の女王の尻にひかれ、王様になって繁殖相手になったとたん、丸々と太った身体は次第にやせ衰えていくそうです。女王は王様たちに交尾を要求する鳴き声をもっていて、これを聞いた王様は嫌でも女王と交尾しなければなりません。そのため王様の在位期間は女王のそれと比べるとかなり短いそうです。

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 王様の次に位置するのは、敵がきたら自ら犠牲となって仲間を守る選ばれし兵隊たちです。彼らは積極的に戦うというより、天敵の蛇が巣穴のトンネルの中に入ってきたときまっさきに蛇に向かって行き、食べられることで仲間を救うのです(😢)大変損な役割ですから普段は殆ど働かずボーとしているそうです。

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 そして階級の最下層は、多数の働きデバネズミたちです。彼らの仕事は餌探し、巣穴の清掃、子育ての手伝いなど多岐にわたります。子育ての手伝いの中で大変重要な任務は赤ちゃんへの保温です。彼らは体温調節機能を持っていないので、これを防ぐために、多くの働きデバネズミたちが幾重にも重なって寝ることで温かい布団がわりをして体力がない赤ちゃんを守るのです。肉ぶとんの最も下段にいるものは、その重みで半ば押しつぶされそうになっているようですが意に介さず熟睡していると言います。

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 彼らは暗いトンネルの中で生活するので、視力はほとんどありません。ただその分、鳴き声によるコミュニケーションに優れており、本書によれば17種類もの鳴き声を駆使して互いの存在や意思を確認しているのだといいます。社会性動物にとってコミュニケーションを通じて組織を維持するのは極めて重要だからです。

そのことは同様社会性動物である人類なら痛いほどわかるでしょう。ただ最近の社会の様子を見ると、どうも人類のコミュニケーションに退化がみられるような気がしてなりません。我々はハダカデバネズミから学ぶ時期にきているのかもしれません。

 

上野動物園のハダカデバネズミの赤ちゃんが働きデバネズミの肉ぶとんで遊んでいる様子です


Baby naked mole rat.ハダカデバネズミの赤ちゃん。