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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№147📕ミツバチ社会は議会制民主主義のお手本

お元気ですか。少年シニアです。

 次回に引き続きミツバチのクレバーさを示すエピソードを語ります。

ミツバチの会議: なぜ常に最良の意思決定ができるのか

ミツバチの会議: なぜ常に最良の意思決定ができるのか

 

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   1949年米国のミツバチ研究家リンダウァーは、奇妙なことに気づきました。巣別れ時に発生する分蜂群の上で、煤で黒かったりレンガの粉で赤かったりした薄汚れたハチが熱心に尻振りダンスをしていたのです。通常こうした尻振りダンスは餌を運ぶ採餌バチであることが多いのですが取り出しても花粉は見当たらず、リンダウアーは、これは巣別れの時に新居を探す探索バチであり、このダンスは新居の決定に関連した行為だと考えました。

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 この探索バチは以前は採餌パチの経験をもつベテランで、約1万匹にも及ぶ分蜂の働きバチから選ばれた数百匹で構成されます。彼らは家探しに飛びたって適切な新居候補をみつけると分蜂群に戻り、お薦め具合にあわせた尻振りダンスをして新居候補地をアピールするのです。(お薦め度が強いとダンスも活気のあるものになる)

尻振りと羽音の1秒は平均して1000メートル先の距離をあらわし、尻振りの走行の角度は太陽の方角の往路の角度をあらわすことで、新居候補地の位置が示されます。

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 さて問題はここからです。数百匹の探索バチが自分が見つけてきた候補地をアピールするのですから、当然ながら候補地は複数のものが示されます。ちなみに調査結果では平均20箇所程度の候補地が数時間から2〜3日の間に提示されるようですが、ミツバチたちはどうやってこれら複数の候補地から最終的に候補地を絞り込み確定させるのでしょうか。

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 まずは多数派工作です。約1万匹いる分蜂群では約300〜500匹のハチが意思決定のプロセスに参加するのですが、その候補地を提案した探索バチが他のハチに猛アピールします。この猛アピールにほだされた候補地を探せなかった探索バチは、その候補地に自ら出向き、本当に適切な新居かどうか確認したうえで支持するかしないかを決めます。

 人間のようにときに縁故や上下関係で自分の意見を左右することもなく、自分の目できっちり確かめて決めるというのですからたいしたものです。

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 こうして次第に多数の支持を得た有力な候補案が出だすと、自分の案を撤回しだすものもあらわれてきます。そして大半が有力案を支持するダンスに変わり、最終的には全員一致で候補先が決定します。どうも自分を支持するものが減り、一方ライバルの案が一定の支持率に達すると、自動的にダンスを踊る意欲を失いダンスをやめる生理的な働きが起きるようです。決定の決裂や遅延はグループ全体の破滅につながるので、そのようなしくみが長い進化の中で進んだのでしょう。

こうして候補地が一か所に絞られる流れがでてくると、探索バチは笛を鳴らして分蜂群の他のハチたちに飛行筋のウォーミングアップを促し新居への飛行の準備をさせます。まさに民主的で無駄のないプロセスで新居が決定され、一糸乱れず一斉に探索バチのリードのもと新居にたどりつくのです。

 

小さな差異で大きな戦いをしたり罵り合ったり、意見がまとまらない人間社会はミツバチに学ぶ必要がありそうです。

 


「ミツバチの巣別れ」 ドーベルマンズの裏庭より