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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№144📕豊かな森は動物の種子散布で支えられている

白亜紀

 お元気ですか。少年シニアです。

前回に引き続き被子植物の繁殖戦略のお話です。前回は、蜜をだしにして昆虫に花粉

を運ばせ受粉させる話でしたが、当然ながらそれだけでは植物は繁殖しません。受精

の結果できあがった種を様々な場所にまき散らし発芽させなければなりません。

もとにある場所だけに落ちてしまっては、生殖分布が広がらず自分の種同士の競争に

なってしまいます。今回は種子の散布戦略についてのお話です。

種子散布―助けあいの進化論〈2〉動物たちがつくる森

種子散布―助けあいの進化論〈2〉動物たちがつくる森

 

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 花粉の移動の主役はハチなどの昆虫でしたが、種の移動の主役は、鳥や哺乳類などの脊椎動物です。一部のアリなど種を巣に持ち帰って散布してくれる昆虫もいますが、何といっても移動距離が短すぎます。その点、鳥や哺乳類は遠くまで種を持ち帰ってくれます。そして受粉の際に花が昆虫をおびき寄せるために様々な工夫を施したのと同様、種の散布についても様々な工夫を施しています。

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 例えば花の実の色は赤や黒いものが多いのですが、それは鳥の目が最も認識しやすい色が赤や黒だからです。まずは目立つことで鳥に実をたべて貰わなければなりません。鳥は歯がないので液果を丸飲みし果肉を消化し、堅い種は壊さず糞とともに排出されます。鳥に実を食べてもらう植物の実は鳥に食べられやすい3〜10㍉程度の大きさに収斂していきました。

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 これに対して果実が大きくて鳥が実を食べられない植物は、哺乳類に食べられることを想定して目立つ色ではなく強い香りを出して哺乳類を呼び寄せます。哺乳類(特に夜行性)は視覚がよくないので目立つ色の実をつくってもあまり意味がないのです。それよりもいい匂いで臭覚の鋭い哺乳類をおびきよせるのです。

実は大きくても種は哺乳類の歯で噛み砕かれないよう小さかったり、ぬるぬるした物質に包んで保護されます。果実を食べさせても種子は噛み砕かれないようにする。そのために種自体に強い渋み毒を持たせたり、種を堅くして動物の消化管を通っても壊れないようにするなど、被子植物のリスクマネジメントは万全なのです。

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 哺乳類の中ではとりわけ種の散布者になっているのが猿です。猿は毛づくろいする時に糞をすることが多いそうですが、毛づくろいする場所は開けた場所が多く、結果として発芽に適した場所に散布されることになります。

 またもうひとつの種子散布のパターンとして「貯食型散布」があります。哺乳類ではリス、鳥類ではカケスなどが、土の中にいったん実を埋めて貯蓄するのですが、中に貯蓄したのを忘れて実が放置され、そこから発芽していくというパターンです。

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 こうしてみると、生命を支える森は植物と動物の共生関係によって成立していることがよく理解できます。人間がその邪魔をすることなく、もっと欲を言えばその関係がより促進されるような動きをしていくことが大切なんだと改めて思いました。

 

真っ赤な実が鳥をさそいます


科学映像館 空を飛ぶ種子 鳥による種子散布 トベラ /クロガネモチ