少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№142📕海を渡る蝶アサギマダラの生存戦略

お元気ですか。少年シニアです。

白亜紀(約1.45億〜0.65億年前)の時代において、生物界でひとつの進化がありま

した。花をつけた被子植物の登場です。スギやヒノキに代表される裸子植物を抑えて

被子植物が植物界の主役に躍り出たのです。

そしてその影響は植物界だけにとどまりませんでした。被子植物との結びつきを深め

て勢力を拡大していく昆虫が登場したのです。チョウ目もその昆虫群の一つです。

謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?

謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?

 

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 アサギマダラという鮮やかな浅黄色をした蝶がいます。私は多摩動物公園の昆虫館で実物を見たんですが、一目でその美しさの虜になりました。そしてこのアサギマダラが2000㌔も海を渡って旅をする特別な蝶であることを知り、益々ファンになりました。

渡り鳥は知っていても渡り蝶というのは知りませんでした。アサギマダラは22〜26度の気温を好む蝶で、この気温帯からはずれてしまうと死んでしまうらしいのです。そこでこの気温を求めて海を渡ってくると言われています。

 

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 渡りは、春から涼しさを求めて沖縄・奄美・喜界島から本州に北上するパターンと、秋から暖かさを求めて本州から南下するパターンがあります。渡った後再び戻ることはなく、新天地で卵を産み、天寿を全うします。

 渡り蝶では4000㌔も移動するオオカバマダラが存在しますが、こちらは陸路をつたって渡るので、休息場所や逃げ場所に困ることは少ないでしょう。その点、わがアサギマダラは海を渡るのですから、休息場所や逃げ場所の確保も含めその困難さはくらべものになりません。しかしアサギマダラには苛酷な旅を実現する能力をもっているのです。

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 アサギマダラは1gにも満たない身体に似合わぬ強靭な脚力を備えています。本書ではしっかりと小石を掴んでいるアサギマダラの写真が掲載されていますが、この脚力で小枝にしがみついていれば強風に晒されても、簡単に吹き飛ばされはしないでしょう。また幼虫時代に有毒植物であるガガイモ科の植物を食べ、その毒を蓄積することで天敵の鳥から身を守っています。アサギマダラの翅の模様が非常に鮮やかではっきりしてるのは、この柄を鳥に覚えさせることで、有毒であることをアピールしているのです。

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それと普通、蝶は鳥からの攻撃をさけるため翅を上下し、ひらひらと軌道を換えて飛ぶのですが、海をわたるアサギマダラは、他の蝶と比べるとゆったりしていて翅をそう上下にはさせません。省エネ飛行でスタミナを温存するのです。

風もうまく利用して台風の強風を逆手にして進んだり、雨が降る前に一気に移動するなど気象を読んでリスク軽減する知恵をもっています。

また群れを形成するのもこの蝶の特徴で、本州への中継地点である大分県の姫島などでは1か所に数百、ときには数千頭を超えるアサギマダラが吸蜜することがあるといいます。渡り鳥なども群れを形成して飛行しますが、これも群れを形成することで天敵の鳥から身を守っているのでしょう。

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 こうしたアサギマダラの渡りは、人間の手によるマーキング活動で明らかになってきました。自分がマーキングしたアサギマダラが渡った先で報告される歓びは何物にも代えがたいでしょう。ただ、まだまだアサギマダラの生態は謎が多く海を渡りきるものがどれくらいの比率でいるのかもわかっていません。その謎が更に我々のロマンを掻き立てるのかもしれません。アサギマダラの旅に幸あらんことを・・・。

 ↓マーキングの様子も写っています。


渡りをするチョウ アサギマダラ

 

↓ 中継地 姫島にはアサギマダラの大好きなスナビキソウがあり、毎年多くのアサギマダラで賑わいます


大乱舞!姫島のアサギマダラ2014/5/25