少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№141📕ノミは生存戦略を大転換し進化した知恵者

お元気ですか。少年シニアです。

昆虫が地球に誕生したのが約4億年前、そして同様に哺乳類が誕生したのは

約2億5千年前。そう考えると原始的な生き物に見えるノミは、もっと昔から

存在していたように思えるのですが、最古の化石は約1億6500万年前(ジュラ紀

後期)の地層からということで、昆虫の中では結構後発の部類に属します。

ただ、その化石は、何と2cmとノミとしては巨大なもので、どうも恐竜に寄生

していたのではないかと推測されています。

しかし白亜紀末の大量絶滅で恐竜は滅びましたが、ノミは身体を極小化して

生き延びたのです。今日は、そんなノミのお話です。

 

ノミ大全 (博物学ドキュメント)

ノミ大全 (博物学ドキュメント)

 

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 ノミの実態が明らかにしたのは、レーフェンフックの顕微鏡だと言われています。彼はノミの変態も含む全生活史を追跡し詳細に記載しました。ノミの蛹に寄生するダニまで記載していたそうです。それまでノミは汚物の中から発生し太陽の光にあたると活動を始めるとされてきました(自然発生説)。しかし、こうして一つ一つの事実が明らかになるとノミは昆虫の仲間であることが17世紀末には受け入られるようになりました。

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  ようやく昆虫の仲間と認識されたノミでしたが、ノミへの関心はそれ以上に湧き上がることはありませんでした。しかし19世紀末、人類を震撼させたある事件によってノミは俄然、注目をあびるようになりました。ペストの発生です。

ペストが発生するところに鼠ありということで、鼠がペストの発生源として注目されたのですが、その鼠から人にペスト菌を媒介していたのが、鼠にとりついた鼠ノミだったのです。この事実を明らかにしたのは、日本の細菌学者・緒方正則です。

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 世界中には2000種のノミがいて、寄生する動物によってもノミの種も異ります。ノミは鋭い嗅覚によって寄生に値するものかそうでないかを見分け、寄生動物の吐く息の化学成分を識別し、通りすがりの動物がなんであるかを知ります。またノミは蚊と異なり雄雌ともに血をすいます。寄生こそが生きるすべであり、それがかなわぬことは、死を意味するのです。

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 こんなノミですが、地球に誕生した時には全く寄生性はなく翅もありました。廃物やごみを食べつつましやかに生きる蠅に似通った生物だったようです。ただそれが突然変異によって、翅のかわりに大きく跳躍できる強力な脚にエネルギー資源を投下して、生物(とりわけ哺乳類に)に寄生するうま味を覚えて進化していきました。

生存戦略を大きく転換したのです。そしてこの意思決定は大成功でした。

その証拠に恐竜が絶滅した後もノミは小型化し寄生する生物をひろげ多様化することで、強かに生き延びてきたのですから。

 

最後に良寛さんが呼んだ一句

  蚤虱 音に鳴く秋の 虫ならば わが懐は 武蔵野の原

 

昨今の公衆衛生の良化から、ありがたいことにこんな状況は少なくなってきましたね。