少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№138📕内外との社会性で生命を繋ぐアリの知恵

お元気ですか。少年シニアです。

アリは他の昆虫にとって手ごわい存在ですが、中にはアリなくしては生きていけない

という虫も存在します。こうした生き物を「好蟻性動物」というのですが、どのような

共生関係をアリと築いているのでしょうか。

アリの巣の生きもの図鑑

アリの巣の生きもの図鑑

 

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 中でも有名なのがアブラムシやカイガラムシとの共生関係で、彼らは排泄物を甘露としてアリに提供するかわりに、アリに天敵から身を守ってもらうのです。アリは、彼らの身体を手足でマッサージして排泄をうながします。甘露はアリの貴重な栄養源なのです。


カイガラムシに甘露をもらうアリ 2匹で分け合う

 

中には、アリの巣に居候してアリの食べ残したものを頂戴するものもいます。ササラダニやワラジムシ、シジミチョウなどです。アリにとっても巣の中をごみを掃除して清潔な巣づくりに協力してくれるので、彼らを率先して住まわせているのかもしれません。 

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 植物もアリとの共生をはかるものがあります。植物と動物の共生では蝶やハチとの受粉の媒介や種の散布がよく知られていますが、アリも果肉を持ち帰り、種はごみ捨て場に捨てることで種子を散布してくれるお得意さんなのです。

また空洞や茎の中をアリの住居として提供することでアリに用心棒として害虫を追っ払う役割を果たしてもらおうとする植物もいます。アリは敵にまわすと厄介な存在ですが、味方につければ結構頼りになる存在のようです。

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こうして他の生き物と高度な関係性をもつアリですが、何といってもアリの凄さは仲間うちで高度な社会性をもつことでしょう。

そもそも生物は例外なく、個体が自分の子供を産むことで、自己の遺伝子を後世に残すことに命をかけるのに、何故アリは繁殖専門の個体(女王とオス)と非繁殖の個体(働きアリ)に機能分化していったのか。

これは、「進化の核は個体である」と唱えたダーウィンを大いに悩ましたようです

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 この疑問に答えたのが英国の生物学者のハミルトンでした。ハミルトンは、働きアリのような利他的な行為を「血縁選択説」によって説明しました。

本来我々人間のような2倍体の遺伝子をもつ生き物では、自分の子と兄弟の血縁度は0.5で同じ血の濃さになるのですが、アリの場合は有性生殖で産まれる雌の遺伝子は2倍体ですが、無性生殖で誕生する雄の遺伝子は1倍体なので、自分の子供と兄弟の血の濃さは同じではなく、働きアリとして生まれる雌の子供の血縁度が0.5に対して、姉妹の血縁度は0.75となり妹の方が遺伝子係数が高いというのです。(父親の遺伝子が100%伝授されるため)

そのため働きアリの雌は自分で子を産むより、母親の女王アリに妹を産ませた方が、自分の遺伝子を継承させることができるので、あえて子を産まないと説明しました。つまり一見女王の出産のために自己を犠牲にしていると思われた利他的な行動は決して利他的な行為ではなく、自己の利益に適う行為であるとしたのです。

一筋縄でいかないアリの世界ですが、アリの不思議さはまだまだあります。

それは次回で。