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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№112📕専守防衛で敵を受け潰す亀の戦略

 お元気ですか。少年シニアです。

爬虫類というのはどうも人間には好かれない動物のようで、かみさんもヘビやトカゲ

が出てくる番組を私がみていると嫌な顔をします。しかし、カメにはそのような反応

はしません。周りを見渡してもカメには親近感を抱くものさえいます。あのまったり

した動きと、「専守防衛」に徹した平和主義が好感されているのでしょうか。

カメの一番古い化石は、中生代のスタートにあたる三畳紀(約2.51〜1.99億年前)の

ドイツの地層から出土しているそうです。

カメのきた道―甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

カメのきた道―甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

 

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 カメは、その姿とは裏腹に、恐竜やワニなどの「主竜類」と近縁だそうです。卵を乾燥から守り水分を補給する卵白の発達がよく、かたい殻をもつなど共通した点も多いと言います。化石等から恐竜やワニとほぼ同時期に出現していることが確認されており、近縁でありながら、喰う喰われるの関係もあったかもしれません。カメの甲羅の進化はそれと無縁ではないのではと思えます。

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 ただ、明らかにカメは恐竜とは異なる戦略によって繁栄の道を開きました。恐竜は極限までの大型化でエネルギーの効率化をはかり繁栄していった(逆に哺乳類は極端に小型化して絶え間なくエネルギーを補給し続けた)わけですが、カメは大きくもならず小さくもならず、せわしく動き回ることもせず、甲羅と首を引っ込め防御に徹することで繁栄の道を築いていきました。

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 カメの最大の武器の甲羅は、慎重な配慮のうえ設計されています。まず内側の甲板の上に鱗板(りんばん)があり、板が二重構造になっているのに加え、双方の継ぎ目が重ならないように設計されているので、表面の鱗板が何らかの衝撃で割られた時に一緒に甲板までもが割れることのないよう保険をかけた構造になっているのです。

また進化したカメに歯が見当たらないのは、限られたカルシウムをどこに配分するかという優先順位の問題につきあたったカメが、歯ではなく甲羅の方にカルシウムを配分する判断をした可能性があると著者は言います。

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 さてカメは、当初は陸だけに棲息していたのですが、中生代の後期(約1億1千年前)から、海の中で棲息するいわゆるウミガメが登場します。こちらも積極的に餌の領域を求めたというより、陸で覇権を握った恐竜等から身を守るために、より安全な海に逃げ込むという防衛の観点での選択の結果ではないかと言われています。

 またカメは進化の過程で、首を完全に甲羅の中にいれてしまうという芸当を見につけた種を生み出しました。甲羅は腹にもありますから、こうなると捕獲者は、もうお手上げ状態でしょう。とにかく攻撃力の強化には全く関心を示さず、防衛力の強化に徹するのが、カメの生き残り戦略の一丁目一番地なのです。

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ここまでくると、カメのぶれない姿勢に敬意を表せざるをえません。将棋にも受けつぶしという勝ち方があるのですが、カメは防御に徹することで、長い寿命を保ち敵を受けつぶして今に到っているのですね。