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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№98📕備えあれば憂いなしを証明した上陸者

 お元気ですか。少年シニアです。

前回は、魚たちが上陸するバッググラウンドとして陸の上で、また海の中でどのよう

な環境変化が起きていたかについて触れました。

今回は、上陸し両生類の先祖となった魚の側から話を展開していきます。

手足を持った魚たち―脊椎動物の上陸戦略 シリーズ「生命の歴史」〈3〉 (講談社現代新書)

手足を持った魚たち―脊椎動物の上陸戦略 シリーズ「生命の歴史」〈3〉 (講談社現代新書)

 

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 本書に注目すべき指摘があります。それは四肢動物の先祖は、上陸近辺の沼や川の浅瀬や河原で手足や肺など上陸に不可欠な器官を獲得していったのではなく、水中で既にそれらを獲得していたという指摘です。

例えば肺。通常魚はえらを使って呼吸をします。しかし生存競争が激しくなった水の中で、遊泳能力を高めるために肺とえらの双方で呼吸するものが登場しました。

肺を持つと、えらから筋肉へというルート以外に肺から心臓へ血液を送ることができるため心臓への酸素の供給が増し遊泳能力も高まるというわけです。肺は上陸とは関係なく、水中での競争に打ち勝つためにできたというのです。

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 また、上陸して地面を歩くために有効な指についても、既に水中で指を使ってどろどろの水底を掴みながら、また水草などをかき分けていたのではないかと言います。

さらに手足についての進化も、上陸して歩くためではなく、雄が脚を雌の体にまきつけて受精が確実に行えるようにするためではないかと指摘しており、たまたまそうした種が、上陸するものにとって有利に働いたのではないかということです。

また、ローマーという学者のように、四肢は歩くためではな池や川が気候変動で、一時的に干上がった時に、川底に潜り込んだり、より水のある方向に移動するために使用されたのではないかと考える人もいます。

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 魚類から四肢動物への移行の流れにいる生物として、腹鰭の付け根に3本の骨をもつ肉鰭類のユーステノプテロンから、腕立て伏せができそうな手首をもったティクターリク、更には、8本の指と鰭のついた尾をもつアカントステガ、そして7本指で、首を支えるために強い肩をもつイクチオステガが、徐々に今の四肢動物に時間をかけて近づいていったのではないかというのが一応の通説ですが、まだまだ決めては見つかっていません。

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 いずれにしても魚類から四肢動物への移行の道筋は、そうシンプルなものではなく、様々な試行錯誤と長い年月をかけて徐々に移行していったと思われます。謎が多いということは、逆に今後明らかになってくる余地が大きいともいえます。

水族館に行くと、腹鰭を手足のように動かし水底を歩いているような魚に出くわすことがあります。魚は泳ぐものという固定観念をいったんとりはずしてみると、魚類の無限大の可能性を感じ取ることができます。

生物の勉強をするうえで最も必要なのは、固定観念を取り除いて事実に迫るという態度なのかもしれません。