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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№93📕シーラカンスは4億年生きてきた(前篇)

お元気ですか。少年シニアです。

これまでデボン紀の「陸の生き物」についてご紹介しましたが、今回は久しぶりに

海に戻ってみます。主役は、あの生きた化石シーラカンス」です。

「四億年の目撃者」シーラカンスを追って (文春文庫)

「四億年の目撃者」シーラカンスを追って (文春文庫)

 

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 シーラカンスは長い間,恐竜が絶滅した白亜紀末に絶滅したと言われていました。

ところが、1938年南アフリカでグーゼン船長率いる漁船がシーラカンスを捕獲。まさか生きた化石とはつゆ知らず、博物館の女性学芸員ラティーマに「風変わりな魚が捕れたぞ」と手渡したところ、彼女はこれは只物ではないと考え、魚類研究の一人者スミス博士に手紙で報告、保管上の指示を待ちます。

ところが、運悪くスミス博士がその手紙をみたのが遅れたため、薫製にするしかなく内臓などの臓器は廃棄せざるをえませんでした。スミス博士は、ラティーマにこのような返信をして、その口惜しさを伝えています。

 たとえ腐っていたとしても魚の内臓が保存されなかったのは何としても残念至極です。(中略)あなたの見つけた魚はこれまで発見されたものに比べてはるかに原始的な型であるからです。それは中生代、またはそれ以前に繁殖した総鰭類に違いありません。それは数千万年前に絶滅したと思われていたものです。

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 この発見は、世界でセンセーショナルに取り上げられ、そのシーラカンスは、発見者にちなんで「ラティメリア」と命名されました。

大英博物館のホワイト博士は、シーラカンスが深海に逃げ込んだため奇跡的に発見されなかったという深海逃避説を打ち出しましたが、スミス博士はこれを否定。生きたシーラカンスを捕獲してその生命の神秘を自らの手で明らかにしたいと、大々的にアフリカ大陸の全海域を探索するための資金集めに遁走します。

 そしてこれに協力したのが、アマ魚類学者で交易用帆船の船長でもあるエリック・ハントでした。彼はコモロ諸島の漁師たちにシーラカンス捕獲を呼びかけ、ついに1952年その捕獲に成功するのです。シーラカンス自体は死んでしまいましたが、腐食する前のシーラカンスを手にしたのです。

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 狂喜したスミス博士は、首相まで動かして専用機でコモロ諸島まで出向き、捕獲されたシーラカンスと対面。南アフリカの自宅に連れ帰り、研究に明け暮れます。

 ところが、この事態を喜ばなかったのがフランス政府でした。コモロ諸島という自国の領土内で捕獲した世紀の発見をみすみす手渡した島の知事やハントを厳しく批判し、今後の捕獲はフランスの研究家に限定すると宣言。シーラカンスの捕獲は、外交問題にまで発展していくのです。

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  シーラカンスの研究は、その強度のある鰭(中に骨がある)から魚類が上陸し始めたメカニズムの解明につながります。最初に上陸し両生類につながっていった魚類の候補には、肉鰭類のシーラカンス肺魚 リピディスチンの3つが有力視されていました。シーラカンスの捕獲はまさに、この長年の謎の解明につながる可能性があったため、より注目を浴びたのです。そして更なる研究のための捕獲作戦が、どんどんエスカレートしていきます。その顛末は次回に。

 

⇩ シーラカンスの目の怖さ。誰もシーラカンスの前で嘘はつけないでしょうね。


貴重映像 海中のシーラカンス - YouTube