少年シニア 55歳から学ぶ理科

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№85📕キノコは環境のバロメーター

キノコの教え (岩波新書) 【使用教材】キノコの教え 著者 小川 眞 2012年4月刊  岩波書店

 

お元気ですか。少年シニアです。

植物、動物の上陸ときたら、菌類の上陸を忘れるわけにはいきません。

今日は、きのこを中心に菌類の繁殖戦略と進化の歩みのお話です。

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菌類は、植物のように光合成によって炭素化合物をつくることができないので、土や落葉・材木などに潜り込んで菌糸(数ミクロンの細くて長い管)を広げ、栄養をとってひそやかに生きています。

温度が上下したり雨が降ったりすると、菌糸にためた栄養物を使って子実体という繁殖器官を地上に出し、膨大な数の胞子をつくって飛ばすことで、子孫を残していきます。我々がよくみる傘のある部分、これが子実体でなんですね。あの傘の形も流体力学の原理で胞子が一番風に乗りやすいように設計されているそうです。

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 キノコの本体は土の中にある菌糸で、その菌糸が大木などの根につながり菌根を形成します。菌根から吸い上げたミネラルや水を木に提供、その成長を促す反面、木から、光合成で生成した糖やビタミン類などの栄養を頂戴しています。

さらには、木が死を迎え倒木するとこれを分解して土壌を肥やす役割も果たします。

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実は、20世紀初頭までは、キノコは隠花植物のひとつとされていました。動物でもなく植物でもない菌類という称号を頂戴したのは1969年からです。ホイッタカーという学者が、栄養摂取法によって生物を分類することを提唱。植物は光合成から、動物は消化、菌類は吸収ということで、晴れて植物からの独立を果たしたわけです。

そもそも植物のように自ら栄養を獲得する独立栄養生物ではなく、動物と同じように従属栄養生物なので、菌類は植物よりむしろ動物に近い存在であるという学者もいるようですね。

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菌類は、カンブリア紀すでにシアノバクテリアなどの原核生物や単細胞の藻類などの遺体を分解したり殺して食べていたが一部の藻類の上陸を機会に、自らも上陸するものが現れた(カビの仲間)というのが著者の考えです。

当初は、藻類に寄生して食い散らしていたものの、それでは共倒れになるので、次第に共生関係に戦術を転換したというのです。

ただ一言で共生と言いますが、なかなか一筋縄ではありません。そもそも植物は上陸後、菌類や昆虫から身を守るため骨格になるセルロースやヘミセルロースをリグニンという粘液で包み木材を固め対抗しました。そのことで植物の巨大化は加速、菌類も簡単に分解できなくなってしまったのでしょう。そこで菌類は戦術を転換し、むしろ植物の巨大化をサポートし、共生関係を結ぶことで、より巨大化による果実(栄養)を頂戴することにしたわけです。菌類なかなかやりますねー。

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今、大気・土壌・水などの環境汚染により多くの木々の根がやられ、それとともにキノコが消え、さらに木々が弱るという負のスパイラルが起きていると著者は指摘します。キノコの繁栄度合いは環境状況のバロメータというわけですね。豊かな土壌に菌類・キノコあり。ということを肝に銘じたいと思います。

           

胞子がバンバン飛びかっています。数で勝負の戦略です。


キノコの胞子-106 - YouTube