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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№82📕苔をコケにしてはならぬという話

苔の話―小さな植物の知られざる生態 (中公新書) 【使用教材】苔の話 著者:秋山弘之 2004年10月刊 中央公論

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 お元気ですか。少年シニアです。今日は、植物の中で緑色藻類に次いで上陸を果たしたと言われる苔の話です。

苔は、国歌にも登場するほどの植物ですが、一方で「コケにする」などよくない意味で使われる言葉があります。でも、このコケは「虚仮」であって、植物の苔からきたものではありません。ただ苔のことと誤解してしまうくらい、苔は不当に軽視されることがあります。本書の帯も「けなげにみえて、こんなにしたたか」と二面性が強調されていますね。なかなか苔の見方は複雑なようです。

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苔の特長は、①水を吸い上げる根がない。光合成のみで栄養を得ている。

      ②体をしっかり支える役割を果たす維管束がない。

      ③水分の蒸発を防ぐためのクチクラ層が発達していない。

こうしたないないづくしのため、コケは最も原始的で下等な陸上植物として軽く扱われる,まさにコケにされる場合があるのです。

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しかし、苔は決してコケにされる植物などではありません。凄い植物なのです。

まず、苔の凄いところは、その繁殖領域の広さです。

大きな砂漠のど真ん中や、氷河・海中・日の当たらない洞窟やジャングル以外は、ほとんどのところに進出しており、何と南極でも夏の間、雪が解けているような場所では、数種類の苔が発見されています。身体構造のシンプルさが、繁殖性を高めていると言えるのかもしれません。この点が苔の最大の強みと言えるでしょう。

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 また、もう1点凄いのは、乾燥状態でも耐える苔がいるということです。本来、苔は水分の近くにいて、水を使って精子を泳がせて受精を目指すなど、極めて水への依存度が強く乾燥は最大の敵になるのですが、乾燥すると自ら休眠して死んだふりをして、雨など水分が補給されるタイミングをじっと待つ。この忍耐力も、苔の強みのひとつと言えるでしょう。

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 苔同様、乾燥状態の中では休眠し、水分が補給されると、生き返るといわれるクマムシ。実はクマムシは苔を住処にしていることが多く、苔類とクマムシは一心同体となって、この世をやり過ごしています。なおクマムシ以外でも、ゲンジボタルやムカシトンボなどの産卵場所になるなど、苔は動物の生殖の拡大にも一役買っています。

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 苔については、ヒーリング効果があるのか、マニアなファンが多いらしく、様々な研究活動やウオッチング活動も盛んとか。

苔類は、大きく ①蘇(せん)類(スギゴケ・ミズゴケ等)

        ②苔(タイ)類(ゼニゴケ等) ③ツノゴケ類 

の3つに大別されますが、マニアの中でも各類ごとにファンがいてその魅力を熱く語りあうそうです。

本書を読んでから、道端や大木の表面を覆う苔に目がつくようになりました。苔目線で街を歩いていると、思わぬ発見がありそうで楽しみです。

 

 ⇩苔の生殖活動や、苔の種類などがよくわかる動画です。


ミクロの小宇宙~Microcosmic Explorers~ (19)コケを見てみよう - YouTube