少年シニア 55歳から学ぶ理科

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№72📕ダーウィンをも虜にしたフジツボの魅力

 

フジツボ―魅惑の足まねき (岩波科学ライブラリー) 

  【使用教材】フジツボ  魅惑の足まねき 著者 倉谷うらら 2009年6月刊 岩波書店

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 本書は、フジツボ女子「倉谷うらら」さんによるフジツボの魅力満載の良書です。

フジツボと言えば、岩にへばりついたり船に付着したりして、相手を汚すやっかいな生き物というイメージがあるのですが、本書を読み終えてからは、ガラリと印象がかわってしまいました。

何といってもあのダーウィンが、フジツボこそが自然淘汰の理解を深めてくれた生き物であると感謝し、「愛しのフジツボ」と呼んでいたのです。

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 フジツボには柄のある種と柄のない種があり、大古の昔は、柄のある種しかいませんでしたが、無柄へと進化していったようです。

柄があると、そこから水分が失われやすく、浅瀬などで水が干上がってくると死んでしまうリスクが増大するため、無柄の方が適者生存の原則により繁栄していったのです。まさにフジツボダーウィンが考える進化論のお手本だったんですね。

ダーウィンが収集したフジツボの標本は1万個にものぼったと言います。各方面の知人に旅に出たときは、フジツボを送ってほしいと依頼したので、世界中のフジツボが送られてきたのです。

そしてこれらの標本をもとに、8年間フジツボに集中して研究しました。その成果は、「フジツボ総論」として計4巻刊行されています。

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 フジツボは、貝類と間違われることが多いのですが、実はエビと同じ甲殻類です。甲殻類である証拠に、受精後は、ノープリウス幼生期〜キプリス幼生となって付着場所を探し、それが完了すると、脱皮を始めてフジツボとしての生活が始まるのです。

付着する対象は千差万別で、岩や船などの無生物から、クジラやイルカ、ウミガメやクラゲ、カニなどの生き物まで多くのものに付着します。ただ面白いことに、クジラしか、またウミガメしかつかないなど、種によっては付着へのこだわりがあるものもあって、その点は謎に包まれています。

 また生息場所も浅瀬から深海 赤道領域から南・北極まで広域で、この点は、古生代紀の看板生物である三葉虫に匹敵します。

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 起源の古さでも三葉虫に負けてはいません。 フジツボの起源はカンブリア紀にまで遡ります。バージェス頁岩から発掘された動物群の化石の中から、フジツボの仲間であるエボシガイ的な化石が出てきているのです。古生代以降の5大絶滅を何とか生き延びて、現在まで生きのびているフジツボは、ある面三葉虫以上のタフネスさとしたたかさがあるのかも知れません。

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さてフジツボは固着する中で、どのように子孫を増やしているのでしょうか。

まず、群生することで、近隣と受精しやすい状況をつくっています。(フジツボは雌雄同体ですが、自家受精は避けます)。

それと身体の8倍もある長い雄性生殖器。これがあるからこそ近隣の相手との交尾が可能になるとのことで、身体の8倍もの長さの生殖器をもつ生物は、他にないそうです。

フジツボって 結構すごい奴です。

 

 ↓ 著者の倉谷うららさん。なんとフジツボの帽子をかぶっての登場です。