少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№64📕雌・雄を決めるものは何か

 

雌と雄のある世界  (集英社新書) 【使用教材】雌と雄のある世界】著者 三井恵津子 2008年10月刊 集英社

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 今回は多細胞動物への進化と雌雄の話です。多細胞生物の出現は、約12億年前あたりとされています。多細胞動物は一つの細胞が何かもやるのではなく何種類かの役割の異なった細胞が情報を交換しながら協調して生きています。

 例えばヒトの卵細胞は直径0.14㍉ 精子は0.0025㍉ 赤血球は0.0075㍉ 座骨神経細胞は直径0.03㍉ですが長さは何と1㍍近くあると言います。

また寿命も細胞の種類によって異なっていて表皮細胞は約30日 赤血球は120日だそうです。細胞がどんどん入れ替わって生を維持しているわけですね。

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 このような複雑な多細胞生物の出現の鍵となるのは雌と雄です。実は雌と雄というのは類によって実に変幻自在で、必ずしも遺伝子だけで決まるものではないということが明らかになっています。環境が性に大きく影響するのです。

例えばあるベラの一種は「群れの中に雄は一匹のみ」というハーレムを形成するのですが、この雄が何らかの形でいなくなったり死ぬと、一番身体の大きな雌が雄に性転換することがわかっています。

また、爬虫類のカメの場合、温度が高い時には雌に、低い時には雄になります。面白いことにワニは逆だそうです。

恐竜は6500万年前に巨大隕石の落下により絶滅したと言われていますが、その際にでた粉塵により太陽光が遮られ気温が急激に低下したと言われています。

恐竜のような爬虫類の仲間では、この低温により雄もしくは雌だけしか生まれなくなった可能性がある。その結果交配が途絶えて絶滅した可能性を著者は指摘していますが、なかなか面白い説だと思いました。

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 映画「ジュラシックパーク」では、クローンで雌だけの恐竜をつくり勝手に増殖しないよう管理するという設定になっています。

ところが不測の事態が発生します。何と子どもが生まれたのです。実はクローン化にあたって、欠損部分にカエルのDNAも混ぜていたのですが温度変化により性転換したため、雄の恐竜ができてしまい、雌と交配してしまったというおちでした。カエルは内分泌攪乱化学物質によって性転換するようですね。

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 このように、雌雄の決定は哺乳類や鳥類など恒温動物以外は、結構弾力的にされることを知りました。おそらく進化の過程の中で、その方が種を維持するために欠かせなかったからなのでしょう。また鳥類や哺乳類に較べて身体の構造がシンプルな分、それがやりやすかったのでしょう。

あと本書にドキッとしたことが書かれていました。雄にのみあるY染色体の遺伝子が加速的に減少していて、10〜20万年後には消滅する可能性があるというのです。そうなったら雄の運命はどうなるのでしょう。

有性生殖のない世界が再び現れるのでしょうか。そのとき生命の次の一手は何でしょうか。恐ろしくもあり楽しみでもありますね。