少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№62📕非常事態22億年前に地球が全部凍った!

凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語 (新潮選書) 【使用教材】凍った地球 著者 田辺英一 2009年1月刊 新潮社

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 前回、プレートテクトニクスによる火山活動で概ね地球は安定した気候環境を維持したと述べましたが、概ねというのがミソで、実は地球がすべて凍ったという異常な時代が三回ほどあったようです。これを全球凍結と言い、その後の生命の進化にも大きな影響を与えました。

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 全球凍結を最初に主張したのは、カーシュビング博士です。博士は約22億年前の南アフリカの地層に注目しました。そして調査の結果、この地層が当時は赤道付近の低緯度にあり大陸氷床(今の南極のようなもの)の堆積岩でできていることを明らかにしたのです。

赤道付近の地層で氷床があるということは、当然高緯度も氷床になっている、つまり地球すべてが凍結していたことになります。これは今までの安定した地球説を完全に覆す驚くべき説でした。

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 しかしこの説に強い異論がおきます。いったん地球が全て凍結すると、太陽の光は氷ですべて反射されるので、今のような温暖な地球に戻ることはできない。どうやって今の地球に戻ったのか説明がつかないというのが、反対者からの声でした。

この問いに対してカーシュビングは、例え全球凍結しても火山活動は発生する。火山活動による二酸化炭素の排出によって再び地球は温暖化されたのだと反論しました。全球凍結は単なる仮説の扱いを受けていましたが、その後、ホフマンらが科学的な裏付けデータを提示し、定説化されるようになります。

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 ところで全球凍結は何が原因で発生したのでしょうか。有力なのは酸素の発生による二酸化炭素やメタンの大幅低下が原因ではないかという説です。

約27年前にシアノバクアは光合成活動をおこない大量の酸素が発生してメタンはどんどん酸化されました。また二酸化炭素光合成により吸収されます。

メタンや二酸化炭素は強力な温室効果があるのでこれらが減少すると、一気に地球は冷えていきます。一定の温度より低くなると寒冷化はどんどん加速し地球全体が凍結されたというわけです。

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 全球凍結により生物の殆どが絶滅したでしょう。当然光合成活動も低下し酸素の排出は大幅に減少します。ところがカーシュビングが言ったように火山活動による二酸化炭素の排出は継続されるので、次第に二酸化炭素が地球に蓄積し氷は解け、再び液体の水に覆われた地球に戻ります。

そうすると今度は逆に温暖化がどんどん進行し大陸が成長します。そして風化作用により、生物にとって必須元素であるリンの供給が増加し、再び海水の中での光合成が活発化し酸素の激増が生じます。

この化学組成の急激な変化が、原核生物から真核細胞(細胞内に核がありDNAが保管されている)の誕生を促したのではないかとされています。核がないと活性酸素によりDNAは傷つけられるので、その保護のために生物は核を用意したのです。

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全球凍結は、その後、約6〜7億年前に二度起きたとされていますが、実はその後にカンブリアの大爆発と言われる多彩な多細胞動物の生存が確認されています。全球凍結は、それまでの生命秩序を崩壊させ新た生命秩序を構築し、生命の進化を促していく。まさに生命のビッグバンが、全球凍結と言えるのではないでしょうか。