少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№57📕最初の生命は結局どのように誕生したのか 

物質から生命へ―自然発生説論争

【使用教材】物質から生命へ  著者ヘンリー・ハリス 訳者長野敬+太田英彦 2003年8月刊 青土社

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 いったん誕生した生命がどう進化していったかは、段々と解明されてきたものの、最初の生命がどのように誕生したのかはまだ明らかにはなっていません。無機物の物質から有機物の生き物になるのは、極めてハードルが高いからです。しかし、17世紀までは、このような議論自体ありませんでした。というのは、生物は自然発生的にできてくると誰もが考えていたからです。

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   アリストテレスは著書「動物誌」で、種子による発生と腐敗分解に伴う自然発生があると主張し近代まで自然発生説をリードしました。古代の哲学者のみならず、17世紀に生きた学者でも、蛙やナメクジやヒルは自然発生すると主張する者がいたのです。しかし科学革命に至ってようやくアリストテレス説への挑戦が始まりました。

近代生物学の父フランチェスコ・レディが、空気だけを通した上で、蠅を寄せつけずに肉に蛆が湧くかという実験を行い、幼虫が発生しないことを確認したのです。蠅以外の蜂やシラミや蛙も同様の実験により自然発生しないことを証明しました。

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 しかし、そう簡単に自然発生説は消え去りませんでした。レーウェンフックが顕微鏡で微生物を発見して再び自然発生説が息を吹き返したのです。微生物のような肉眼で見えないものは、自然発生的に存在するのではないかと思えたからです。しかし微生物の父と言われるレーウエンフック自身は、自然発生説には懐疑的で、観察や実験で微生物の生死を探求しました。

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 自然発生説の息の根をとめたのは、19世紀も半ばのパスツールですパスツールは空気は入るが塵は入らない「白鳥の首フラスコ」というものを考案して、熱して放っておいた肉は腐敗しないことを実験で示しました。これにより肉汁に付着した微生物は全て外気から侵入したものであり、生命は生命から生まれるのであって、自然に発生するものではないことを強調し、多くの人の支持を得ました。

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 ただ、生命が発生した後は、生命は生命から生まれていったのは間違いないとしても、それでは最初の生命はどうしてできたのでしょうか? もし仮に地球に落ちてきた隕石の中に生き物が紛れ込んでいたとして、それでは隕石の中の生命はどうして誕生したのでしょうか?  これは宇宙の誕生と同じ隘路に嵌ってしまいます。ここで、いったん否定された自然発生説、つまりある環境下におかれたときに物質から生命は誕生するという説が俄かに蘇ってくるのです。

化学合成による生命の誕生、これまでアミノ酸までは人工的に生成できても、それを高分子のタンパク質の生成に至るところまでを実際に示した者はいません。生化学的なアプローチによる生命の誕生のしくみは益々研究に力が入ることでしょう。