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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№56📕不思議な生き物なのか生き物が不思議なのか

不思議な生き物  生命38億年の歴史と謎【使用教材】不思議な生き物 著者 池田清彦 2013年4月 角川学芸出版

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 表紙のイラストは「トゲトゲ」というハムシの仲間です。「トゲトゲ」は捕食者から身を守るために棘をもつようになったわけですが、捕食者がいなくなると棘が不要になったのか「トゲなしトゲトゲ」が登場。さらにその「トゲなしトゲトゲ」の環境がまた変わったのか、その「トゲなしトゲトゲ」に棘のついた「トゲありトゲなしトゲトゲ」が誕生。この生き物は元々の「トゲトゲ」とは違う形態なので別物(笑) 何と生き物は不思議に満ちているのでしょうか。

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 身体の構造が複雑化すればするほど、妙な生き物が多いかと言えば、そうでもないのが面白いところです。例えば、ミジンコは本来は頭が丸いダルマ型をしていますが、捕食者のユズリカやフサカの幼虫がいるとヘルメット型に変わると言います。

捕食者から身を守る擬態なども節足動物など大古から生きている動物に多く見られます。またオスばかりになると1匹がメスに性転換するクマノミも魚類。

逆に言えば、こうしたシンプルな生き物の方が生存競争が激しいからなのか、大古から生きているから長い時間をかけて不思議な形態や能力を身に着けたからなのか、ユニークな形態や武器をもっているのは大変興味深いですね。

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 また本書で紹介されているクマムシという海に住む節足動物は、恐るべき不死身の生き物で、上は摂氏120度、下は―200度まで生存するそうです。それが、何かの拍子に水から出て乾燥すると干からび休眠して代謝しなくなります。ところが大分時期を経て水をかけると、何と生き返るというのです。

細胞の分化の程度が低いものはシステムとしていい加減なだけ再生できるが、ヒトの細胞のように個体のまとまりが大きくなりすぎると細胞が個体に従属した形でしか生きていけないと著者は言うのですが、これは会社の構成員であるサラリーマンには、結構身につまされる話ではないでしょうか。

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 細胞は、あたかも意志があるように生成したり自死したりします。定められたルールに基づいて個体の下僕のように忠実に機能する細胞は、これもルール通りに社会全体の下僕のように動くアリのようです。そして時に生き物は、自らの生存維持や繁栄のためにそのルールを変えてしまうという柔軟さをもちます。まったく生き物というものは知れば知るほど不思議なものです。でもその不思議さがあるがゆえに、我々は生き物に魅了され、その奥の深さに感動するのでしょう。