少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№53📕細胞の輪廻転生について

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)【使用教材】オートファジーの謎   著者 水島昇 2011年9月刊    PHP 

              

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 いま終活ブームのようですが、その背景には死を後ろ向きにとらえるのではなく、次なる生に継承するものとして前向きにとらえるという考えがあると思います。細胞もまたしかり。実は我々の身体の中の細胞は、細胞の死によってどんどん入れ替わっているそうです。一年もたてば、神経細胞などのご長寿細胞を除いては、ほとんどの細胞が入れ替わっていて、社会的にはともかく生物的には別人になっているとか。

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 この細胞の死の主役はリソソームという小器官で、別名「細胞内のゴミ処理工場」と言われています。リソソームの内部には、約70種類もの分解酵素があり、ここに運ばれてきたものは、容赦なく何でも分解されてしまうのです。といっても細胞質にはタンパク質が豊かに存在するため、結果的には殆どの分解対象はタンパク質ということになりますオートファージとはオート(自分)+ファージ(食べる)で、細胞内の一部を少しずつ、しかし時には激しく分解する行為をさします老化し死を迎えんとする細胞を分解し、これから生きようとする新たな細胞の栄養素にするのです。

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オートファージの役割は主に3つ。

① 飢餓状態時の栄養素材の提供。やむを得ずに外部からの栄養補給をたたれたとき

  に、自分自身を過剰に分解してそこから栄養を得るのです。

② 生命の発生の過程で細胞を大規模に入れ替えないといけないとき(昆虫の変態時や

  哺乳類などで受精卵が着床するまで)に栄養を提供します。

③ 細胞の中をきれいに浄化すること。特に神経細胞のように寿命の長い細胞は、

  オートファジーをおこすことにより、細胞内にゴミがたまらないようにします。

この他、オートファジーには細胞内に侵入してきた細菌やウイルスなどの微生物をつらえて分解するという防御機能も担っています。

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 著者によれば、生物たちは、当初は飢餓状態の回避だけに使用していたオートファジーを細胞内浄化システムとして転用するようになったのではないかと指摘します。そして更にそこにとどまらず、不良品のミトコンドリアなどを処理する(これがたまると活性酸素の素になりタンパク質や遺伝子を傷つける)など、細胞核の品質も保っているのではないかと言うのです。

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 いずれにしてもオートファジーという細胞のリサイクルシステムが正常に機能しないと生命は正常に持続することができなくなることは明らかになってきましたアルツハイマー病や心不全などの重要疾患も、オートファジーとの因果関係があるのではないかと言われています。こうしたことから、今オートファジーを巡る研究が非常に注目されており、その研究結果が、病気の予防や治療につながればと期待されます。