少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№52📕タンパク質の強力な介添え役について

タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)       【 使用教材】タンパク質の一生 著者 永田和宏 2009年  岩波書店 

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  人体の60〜70%は水ですが、次いで多いのがタンパク質で15〜20%です。この数回DNAの遺伝子やRNAの重要性についても書いてきましたが、何故重要かと言えば、それらが生命の主役タンパク質を生成するからです。DNAが専ら暗号を複写したり読み出したりしている静かな書斎派だとすれば、タンパク質は自分の体を提供して実際に様々な労働をこなしている活動派と言えるでしょう。本書は、そのタンパク質が生成されてから死を迎えるまでの凄いプロセスをわかりやすく紹介しています。

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 タンパク質は、多数のアミノ酸がつながった高分子です。アミノ酸は20種類あり、身体の中で生成されるアミノ酸が11種類、他の生物からしか得られない必須アミノ酸が9種類あります。我々は内でタンパク質を合成するとともに外から摂取したタンパク質をアミノ酸に分解し、これをつなげて再度タンパク質を合成しているのです。

タンパク質は実に多種な機能をもっており、ざっとあげただけでもこんな感じです。

 ★身体の構造をつくるもの(コラーゲンやケラチン等)

 ★酵素になるもの(タンパク質を分解するペプシン等)

 ★運搬するもの (酸素を赤血球を通して各部に運ぶへモクロビン等)

 ★抗体をつくり身体を防御するもの (B細胞によってつくられるグロブリン

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 タンパク質の誕生については、DNAで遺伝子を複製、RNAで転写、リボゾームで翻訳、生成という流れになりますが、実はそんなにスムーズに一人前のタンパク質ができるほど甘くはないようです。

実はタンパク質は、アミノ酸が鎖上になったポリペプチドを折り畳み三次元構造をつくらないと上記にあげたような機能をもつことはできません。折畳をフォールディングと呼びますが、結構難しい作業のようで、タンパク質の種類によっては、合成された3割くらいしかフォールディングしないのというのです。疎水性のアミノ酸が集まりタンパク質を凝集してしまったり、火傷などで細胞が高熱にさらされると、タンパク質の立体構造がくずれてしまうからです。

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 そのとき緊急出動し、変性してしまったタンパク質に結合して凝集を阻止したり、場合によっては再生させてしまうのが「分子シャベロン」というタンパク質です。まさにタンパク質の介添え役と言うに相応しい働きをします。シャベロンとは本来、社交界にデビューする若い女性を介添えする年上の女性の意味だそうです。

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 ただ、分子シャベロンでも修理できない異常なタンパク質についてはタンパク質の分解センターと言われるリソソームで廃棄・分解されます。そしてそれでもなお廃棄できない場合は、細胞そのものが死ぬ(アポトーシスといいます)ことで不良タンパク質が残存しないしくみになっています。

 RNAの転写の品質管理にも負けぬこのタンパク質の品質管理システムによって我々は生命を維持しているわけですが、まあ何とよくできたシステムだと感心せざるをえません。