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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

No51📕只者ではないRNAついて

生命のセントラルドグマ―RNAがおりなす分子生物学の中心教義 (ブルーバックス)【使用教材】生命のセントラルドグマ 著者 武村政春 2007年2月刊 講談社

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  表題にある生命のセントラルドグマとは、ずばり「DNA遺伝子の複製➡RNAに転写➡リボソームで翻訳➡タンパク質の生成」という一連の流れを指します。DNAの2重らせん構造を明らかにしたFクリックによって提唱されました。

この流れを素直に読み解けば、RNA(リボ核酸)は、単にDNA(デオキシリボ核酸)の遺伝子をタンパク質にするためのメッセンジャーにすぎないように見えます。しかし研究が進むにつれ、どうもRNAは単なるメッセンジャーではなく、影の実力者ではないかという疑惑が生じてきたようなのです。

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 RNA(リボ核酸)の再評価は、タンパク質と同様にRNAにも触媒機能があることが判明したことが大きく、更にはRNAを複製してDNAを製造するものもあるという事実が明らかになりました。これをRNAルネッサンスという人もいます。複製機能と触媒機能を持ち合わせているRNAこそ、生命の根源ではないかという説もあるのです。

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  また、その転写作業についても単に同じものを転写するのではなく、タンパク質合成に不要なものは削除し、遺伝子の断片だけをつなぐスプライシングという作業をおこないます。そして驚くべきは、その上で更に生命維持のため有用な遺伝子だけを選別しているというのです。(選択式スプライシング

その後3つの連続した塩基(コドン)によって規定されるアミノ酸へ翻訳していくのですが、この時も転写済みのRNAに新たに塩基を挿入したり別の塩基に変化させるという編集作業を行っているというのです。

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 そうしてはじめて核の外に出てタンパク質の生成工場であるリボソームという細胞小器官に運ばれますが、このリボソーム自体、大半がRNAでできています。ここでお試し翻訳が行われ、不良品は酵素により速やかに分解され、合格したものだけが、本格的に翻訳されタンパク質のもととなるアミノ酸となり、ペプチド結合によりタンパク質が合成されます。その時間は10秒から1分間とか。

効率的かつ短納期で緻密な品質管理をおこなうRNAは、経営者から見ればこれほど頼りになる存在はないでしょう。

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 もうここまで知ると、誰もRNAを単なるメッセンジャーと言って見下すことはないでしょう。こうした真実の追及により名誉回復が行われるのが、科学の素晴らしいところですね。会社で無能の烙印をおされていたRNAは、いまや執行役員クラスに昇格したのです。私の中のRNAさんにも感謝します。