少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№50📕二重らせん(対の美しさについて)

二重らせん (講談社文庫) 

【使用教材】二重らせん 著者J・ワトソン 訳者 江上不二夫・中村桂子 2012年11月刊  講談社

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    本書は、DNAが二重らせん構造になっていることを解明しノーベル賞を受賞した科学者の記録です。著者のワトソンは自他ともに認める野心家・毒舌家で、本書では成功までの道のりをドラマ仕立てにしたうえで、ずけずけとした言い回しで協力者やライバルたちを登場させています。ドラマの中で重要な役割を果たす人物は以下の通りです。(ワトソン本人は除く)

 

 (登場人物1)Fクリック

 ワトソンの相棒で、新たな理論の話になると誰かれなく大声で自説を主張する天才肌の研究者

(登場人物2) Ⅿウイルキンス

 DNAの構造分析の第一人者。X線によるDNAの画像写真で遺伝子が規則正しい構造をもったことを学会で発表。これを聞いたワトソンはDNAの構造解明を研究テーマに決め、ウイルキンスへの接触を開始する。

(登場人物3)Rフランクリン(通称ロージィ)

 X線よるDNA結晶の解析を専門とする女性研究者。ウイルキンスの助手だが強烈な自己主張で自分の仕事への介入を拒否し、DNAがらせん構造であると主張するワトソンやクリックの説も認めようとしない。

(登場人物4)Rボーリング

 タンパク質の構造を解明しノーベル賞を受賞。DNAの構造分析にも興味をもち研究を開始、ワトソンやクリックを脅かす存在。

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 当時、遺伝子の正体はDNAではないかという考え自体は広まりつつあったものの、研究の主役はまだまだタンパク質で、DNAを本格的に研究しその構造を解明しようとする生物学者は殆どいなかったようです。事実、ワトソンの相棒であるクリックもタンパク質の研究者でした。しかしワトソンの熱心なアプローチもありクリックもDNAの構造解析に乗り出しここに2人3脚の挑戦が開始されます。

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 二人はDNAがタンパク質同様、らせん構造になっているのではという仮説を打ち出し、その確認として結晶化したDNAのX線写真を探そうとします。2人は、この分野の第一人者であるウイルキンスを頼りますが、この写真データは助手のフランクリンが握っており、彼女の許可なくては見ることはできない状況でした。二人は直接彼女に自分達の仮説を伝え協力を求めますが。彼女はかたくなにDNAはらせん構造ではなく、データの分析も不十分として協力を拒否します。しかし結局、異なるルートで彼女の写真を観ることができた二人は、ますます仮説の正しさを確信するようになります。

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  その後、タンパク質の第一人者であるRボーリングがDNAの構造解析にも乗り出すなど、俄かにDNA研究を取り巻く状況はあわただしくなります。

同じ塩基同士の水素結合に固執していたワトソンは隘路に嵌りますが、遺伝子の分子モデルの模型をいじっているうちに、DNAの4つの塩基の組み合わせの中で、アデニンとチミンの結合の形と、グアニンとシトシンの結合した形が、まったく一緒であることを発見します。2本のDNA鎖は異なる塩基の組み合わせによって結合しており、結合の仕方に規則性があったのです。これらの塩基は、相補的な関係になっているため、一方の塩基が決まればもう一方の塩基も自動的に決まります。DNAが複製される時にらせんがほどけ、DNA鎖は1本ごとに分れ、この鎖と相補した鎖が結び対となり、再び二重らせんを描く、この二重らせんモデルは学界でオーソライズされ、クリック、ウイルキンスも含めた3人のノーベル賞の受賞につながります。

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 二重らせん構造は美しいと言われます。異なる塩基が対になってらせん状に結び付く姿は、よく見ると異なる生命同士が共生しつながっている象徴であるようにも思えます。やはり生命は美しいのでした。