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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№49📕生の中でDNAを考える重要性について

あなたのなかのDNA―必ずわかる遺伝子の話 (ハヤカワ文庫NF)【使用教材】あなたの中のDNA 著者 中村桂子 1994年3月刊 ハヤカワ書房

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 DNAという言葉が様々な場で使われるにつれて、逆にDNAって結局なんだっけという状況もうまれてきました。恐らくDNA=遺伝子という捉え方が最もポピュラー(我社のDNAはなんて言い方をします)なのでしょうかが、これにゲノムが加わると、各々の違いや関係性がわからなくなって混乱しちゃうんですね。本書は、この点をわかりやすく説明してくれています。

             

DNA ➡ デオキシリボ核酸という核酸の一種(物質)。細胞の核内に存在する。ヒトの細胞には

      30億塩のDNAが含まれている

ゲノム ➡ すべてのDNAの集合体。

遺伝子 ➡ DNAの中でタンパク質の設計を司るもの。ヒトの細胞には約3万種類の遺伝子がある

      と言われている(総数は不明)

 

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 著者は、上記の中で一番大きな単位であるゲノムに着目して生命を語ることが重要であるという立場をとります。ヒトゲノムがヒトをヒトたらしめ、ネコゲノムがネコをネコたらしめる。生き物としての単位はDNAではなく、その集合体のゲノムであるという主張です。DNAや遺伝子そのものが重要なのではなく、今生きていることはDNAを抜きにして語れないからDNAに着目するのだ、あくまでトータルな生が重要という基本姿勢です。(著者が生命科学より生命誌という考えを重視するのも同じ姿勢からです)

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 そしてDNAは単に、生殖細胞により遺伝情報を子に伝えるという機能のみならず、遺伝子を通じて自らの体を形づくるタンパク質を設計し体細胞を複製することで我々自身の生命を支えているということを忘れてはならないと指摘します。

確かに我々はDNAを文字通り、後世代にひきつぐ遺伝の観点のみで見る傾向があります。そもそもタンパク質を合成するDNAを遺伝子と命名したことが、遺伝情報を伝えるものとして誤解を生む要因になっているのではと思います。

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 タンパク質は生命の成長や維持にとって最も欠かせない物質で、臓器をつくる細胞のみならず、触媒となる酵素や血液もタンパク質です。そのタンパク質の設計図をつくっているからこそ遺伝子が極めて重要なのです。ただ遺伝子はDNAの総数のうち3〜5%程度にすぎず、残りの大半のDNAは何のために存在しどんな機能をもっているか現時点ではわかっていないそうです。まだまだDNAは謎だらけです。

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 DNAの働きとしてタンパク質をつくること以外にも自己複製(細胞分裂)することや、時に進化をうながすことなどがあげられます。DNAは本来は核酸の一種で物質なのですがあたかも方向性をもって意志のあるがごとく働くため、DNAは生き物であると勘違いしてしまうのですね。

でも勘違いさせるほどの不思議さと魅力がDNAにあるのは間違いありません。