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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№48📕進化論も進化する?について

眠れなくなる進化論の話 ?ダーウィン、ドーキンズから現代進化学まで全部みせます? (知りたい!サイエンス)

  【使用教材】眠れなくなる進化論の話 編者 矢沢サイエンスオフィス 2012年1月刊 技術評論社

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 19世紀半ばダーウィン自然淘汰による進化論を発表して「なるほど生命はこのように進化したのか。目出度し目出度し」とはならないのが科学の世界のようで、その後、進化の仕方や原因については、様々な学説が提示され論争は続きました。本書は、この様々な学説がわかりやすく提示されています。

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 ダーウィンの死後、20世紀初頭はダーウィ二ズムの黄昏期といわれており、世間や科学界の世界ではもっぱら遺伝学や発生学・細胞学といったものに関心が集まっていたようです。特に注目すべきはメンデルの法則で、遺伝子による個体の変異を瞬間的に生じさせるので、短期間でも生物は進化するのではないかとも考えらえ、長期間の変異を前提とするダーウィンの理論に懐疑的な見方が一時広がりました。

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  そんな中、こうした遺伝学や細胞学などの知見もとりいれた「進化の総合学説」なる動きが、ダーウィン支持者によってでてきます。これをネオダーウィ二ズムと言います。ダーウィン自然淘汰説に遺伝子学を合体させ、より説得力のあるもにしようという動きですね。ただどうも本書を読むと、決して一枚岩の動きではなくて、細かい点では、学者によって説が異なるようです。

 例えば変異のスピードという点で、通常は漸進的に変化するという考え方なのですが、古生物学者のグールドのように変化するときは大きく変化する、また変化する時と変化しない時があるという「断続平衡説」を唱える学者もいます。

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 また、ダーウィン自然淘汰に真っ向から反対する学者もいました。今西錦司は、生物は主体的に種社会ごとに生息環境を棲み分けており、変化せざるをえない環境が生じたときは、個体ではなく種全体で変化するとして反ダーウィ二ズムを鮮明にしました。また木村資生は、形質の大半は生存に有利でも不利でもない中立的なものが進化するという「分子進化の中立説」を唱え、進化は適者生存ではなく運にめぐまれたものが偶然生き残るという「運者生存」を主張しました。

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 その他、生物は競争原理ではなく協調の中で進化したと説くマーギュリスの「細胞共生説」があります。生物の細胞の小器官であるミトコンドリア葉緑体はそれぞれ独自のDNAをもち、共生する前は独立した生き物でした。環境の変化に対処するため微生物に取り込まれ共生することで生き延び微生物自体も変化していったわけですから、確かにこれも進化の一種と言えるでしょう。

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 本書で様々な説があることは理解できたのですが、進化論というのはなかなか実証するのが困難な領域なので、最終的には各々の学者の嗜好や信条的なもので主張されやすいのかなと正直思いました。熱烈なダーウィン信望者で有名なドーキンスは進化の対象は「種」でも「個体」でもなく「利己的な遺伝子」だとするのですが、これも理論というより「ものの見方」ともいえます。

いずれにしても、どうしても人間に事が及ぶ「進化論」は、感情面も含めまだまだ激しい論争が続きそうです。