読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

No45📕生命誌は生命科学を超えるかについて

生命誌の扉をひらく―科学に拠って科学を超える  【使用教材】生命誌の扉をひらく 著者 中村桂子 1990年12月 哲学書房     

                   🐜

   宇宙,太陽系、地球,生命の誕生と学んできて、いよいよ生命の進化・展開にはいっていきます。最初の生命はバクテリアといわれていますが、いきなり細胞や微生物のことを学ぶ前に、生命の本質や基本を学んでおきたいと思い手にしたのが本書です。

                  🐜  🐜

生命誌」。あまり聞きなれない言葉かも知れません。生命科学という言葉はよく耳にしますが・・・ 特に近年は、DNAやゲノムの解析といったいわゆる分子生物学が注目され、21世紀はまさに生命科学の時代だと言われてます。これに対して「生命誌」というのは少しやぼったい感じもしますね。しかし著者の中村氏(JT生命誌研究所長)は、これからは、生命が誕生し多様化してきた流れを物語とする「生命誌」として理解することが重要だと説きます。そして生命科学から生命誌へと展開していくことで、科学は本当の意味で文化として認知されると主張するのです。

                 🐜  🐜  🐜 

  確かに我々は、科学を技術の基礎としてしか考えておらず、ましてや科学を文化としてとらえようとはしません。科学的な発見があると必ずといっていいほどこういいます。「その発見は何の役に立つのですか?」と。一般的に文化とされる芸術や考古学などで、そのような問いかけをする人はあまりいません。文化は役に立つか否かはではなく人間の本能的な欲求に根差すものだからです。しかし、常に科学は役立つことだけを強要されるのです。

                                 🐜  🐜  🐜  🐜     

生命科学」は、確かに生命の根源を我々にしめしました。生物の共通性の側から生命を統一的に分析し、生物としての人間も研究対象にいれることで、物性としての人間に目を向けさせました。人間には60兆個の細胞でできている、そして一つ一つの細胞の核に格納されたDNAを一直線につなぐと1.8㍍にもなるので、全ての細胞のDNAをつなぐと1000億㌔にもなるなど具体的に驚嘆すべき生命の実体を示してくれました。

しかし、その解明だけで我々は生命をとらえたというのは間違いであり、併せて生命の歴史を理解してこそ「我々も含め生命は何もので どこから来てどこへ向かおうとしているのか」を明らかにできます。更に「人間とは何かを考えるとは、人間はどのようにしてつくりあげられたのか、他の生き物とはどのような関係にあるのかと問わなければばらないことがわかってきた。つまり必要なのは分科してしまった科学ではなく統合的な知としての科学なのだ」というのが著者のメッセージなのです。

              🐜  🐜  🐜  🐜  🐜  

 私がこのブログでやりたいことも、まさに生命を統合的に理解したいということです。そしてそれは何の制約もない素人こそが追い求めることができるテーマだと思いました。しかしそれは間違っていたようです。すでに玄人の科学者の中で生命を統合的に魅力のある物語として世に示す潮流が存在しているのだということを知りました。今後、益々科学は面白く興味深いものになりそうです。