少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№37📕心地よい母なる海の誕生について

海はどうしてできたのか (ブルーバックス)使用教材】海はどうしてできたのか 著者 藤岡換太郎 2013年2月刊 講談社

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 人生に行き詰ったり素直な気持ちでいたいとき、私は海を眺めます。海に行くと同胞がいて、時には若者であったり主婦であったり御爺さんであったりするけれど、同じようにじっと海を眺め続けています。私は海に母なるものを感じます。そこは自分の故郷です。皆も母を感じつつ海を眺めているんじゃないかと勝手に思います。もちろんこの俳人も。

  亡き母や 海見るたびに 見るたびに  一茶

へんに技巧をほどこさずに一茶の母への深い深い愛情が伝わってくる秀作だと思います。母なる海の誕生を知ることはは、自分のルーツを知ることにつながります。

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 マグマに覆われた原始地球の海から、いつ今のような水の海になったのか。諸説ありますが本書によればこんな感じのストーリーです。

水は地球に降り注ぐ炭素質隕石の中にOHという形でふくまれていた。岩石や鉱物が分解したときに水として放出された。ただ水はマグマの灼熱の中で液体では存在できず水蒸気として大気中に留まっていた。

・約40億年ほど前に次第に地表化が冷えたことで、雲から凄まじい豪雨が長年にわたり降り続き水の海を形成した。

・当時は大きな陸地がない一面の海と一面の空が広がる水平線だけが存在する世界だった。海の組成は、二酸化炭素や塩酸が溶け込んだ強い毒性をもつ緑の海だった。

約27億年前に酸素を放出するシアノバクテリア光合成活動により酸素が海に排出され、鉄を酸化したことで、海底に「縞状鉄鉱層」という堆積物を形成。こうして緑の海は赤い海に変化した。

更に藻類の光合成活動が活発化し、酸化する鉄が限度をむかえると約22億年前には大気中に酸素が放出され、陸上の岩石に含まれる岩石に含まれるナトリウム等が海にそそぎ、海水の塩素と結びつき食塩となり、次第に現在のような大気・海水の組成ができあがり青い海となった。

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 こうしてみると,海の変化は海自身のみならず大気と陸と生命の三つの要素が複雑に絡み合って形成されてきたことがわかります。これを「共進化」というのですが、この共進化によって次第に生命が多様化する環境がつくられていったことを知るとき、何か言い知れぬつながりを感じて、感動してしまいます。

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 最後に少し怖い話が書かれていました。海の寿命の話です。海水はプレートテクト二クスという地殻変動により海洋プレートと共に大陸下のマントルに流れ込んだあと、火山活動を通じて地上に水蒸気として排出されるらしいのですが、この循環が地球内部の冷却化によりとまることで、次第に海水が減っていく恐れがあるというのです。10億年後の話ではあるようですが、全てがつながっているゆえ、どこかで問題が生じると全てが機能しなくなるというリスクが発生してくる怖さ。この怖さを忘れることなく自然に接することが必要なのだと改めて思いました。