少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№28📕彗星は天使か悪魔かについて

 

彗星探検

 

 

 

     【使用教材】彗星探検    著者  懸 秀彦 2013年8月20日刊 二見書房

 

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 中学生の頃から55歳の今に到るまで吉田拓郎の唄が好きで、特に「落陽」と「流星」がお気に入りです。「流星」はこんな句で締めくくられます。

 流れる星は今がきれいで ただそれだけに悲しくて

 流れる星はかすかに消える 思い出なんか残さないで

 君のほしいものは何ですか、僕のほしかったものは何ですか

流星の美しさは、その瞬間性にあります。ぱっと咲いてぱっと散る桜が好きな日本人の私は、桜と同じ性質をもつ流星も好きです。流星の材料の大半は、彗星からのものなので、当然ながら、彗星も好きです。(ちなみに私がほしいものは昔も今も「自由」です)

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  でも私のような人間ばかりではなく、彗星を不吉な前兆としてとらえていた人が多くいたようです。1456年まさにハレー彗星がその長大な尾をたなびかせていた時に、トルコ軍の進撃を受けた東ローマ帝国の人々は、このように神に祈ったそうです。 

 「神よ 悪魔とトルコと彗星から我らを守りたまえ」

彗星は悪魔の使者と同じ扱いを受けたのです。いずれにしても時の権力者は、今の権力者以上に天体の動きを気にしていたことは間違いありません。世界最古の彗星図は、中国で紀元前100年に馬王堆古墳から発見されていますが、このような太古の昔から記録されていたのは、帝は天から遣わされているという思想に基づき、1つ1つの彗星の出現星座・明るさ・尾の形状が占星術として国の運命を占ううえで重要だったためです。

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 日本でも、日本書紀などで彗星に言及した記述は見られますが、政治的な観点よりむしろ文化的な観点でとりあげられています。例えば俳人小林一茶が「我春集」にこんな句があります。

 七月二十六日頃より北方七星のあたりに稲つかねたらんやうなる星現るる 老人豊秋の印なりという

 人並みや 芒も騒ぐ ははき星      一茶

 豊秋の印?日本では禍をもたらすどころか福を与える存在だったのでしょうか。日本が誇る絵画の巨人「葛飾北斎」もハレー彗星と思われる絵を描いていますが、これも何かおおらかに描いている印象。とどめは私が子供の頃に人気のあった漫画ドラマ「コメットさん」。コメットは日本語で彗星の意味ですが、宇宙のはてからやってきたコメットさんは住み込みのお手伝いさんとしてその魔法で世話になっている家族たちに夢と希望を与えていくのです。

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   本書に掲載されている写真に映し出された彗星の姿の何と美しいことでしょう。

 日光中禅寺湖の上に棚引く超巨大で有名なヘールポップ彗星(1997年)

 国際宇宙ステーションから撮影されたラヴジョイ彗星(2011年)

 ホーエンツォレルン城をバックにしたバンスターンズ彗星(2013年)

 いづれも目もくらむような美しさです。そしてその美しさは何といっても彗星の長い尾にあります。1843年の大彗星の尾の長さは何と太陽と地球の距離の2倍強(約3億3千万㎞)あったと言います。尾があると人はそれを捕まえたくなる。美しい女性を何とか捕えようとして翻弄される男たちのように、彗星は我々をある時には虜にし、ある時は翻弄し続けることでしょう。

 

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