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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№27📕降格した冥王星の心情について

 

かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて 

 

 

【使用教材】かくして冥王星は降格された

 著者 ニール・D・タイソン 訳者 吉田三知世    2009年8月25日刊 早川書房

                                                                                  

 冥王星は、1930年2月にトンボ―という米国の天文学者によって発見されました。そして11歳の少女バーニーがこの星にプルートと名付けることを提案し受け入られました。海王星よりも遠くにある惑星として76年間その地位を保ちました。

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「プルート」というとディズニーに出てくる犬の名前を想起させると本書にあるのですが、私個人としては鉄腕アトムの「地上最強のロボット」に出てくる100万馬力(アトムは10万馬力)のロボットを思い出します。本当に恰好よかった。最強を証明するために各地の覇者7体のロボットに挑戦状を突きつけて、ひとつづつ片づけていくそのストーリーをこわごわ楽しみました。しかし意外な展開があってプルートは人為的に敗れ去ります。これがどうもその後の冥王星の運命も示唆しているようで、興味深いところです。

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 話を戻しましょう。結論から言えば、冥王星は2006年国際天文学連合により準惑星に降格にされるのですが、この結論に到るまで国際世論も含めて侃々諤々の意見が飛びかったと言います。それは何故なのでしょうか。第一にはこの降格に到るまでのプロセスの不透明さや納得性の弱さがあることは、本書を見れば明らかです。

 実は最初に、惑星からの降格を示唆したのは、国際天文連合ではなく、アメリカ自然史博物館でした。2000年の開館にあたり、館の運営に携わる科学者の創意によって冥王星海王星天王星のグループにいれずに、その外側にある太陽系外縁体の方に展示したのです。そしてこの博物館の措置に対してニューヨークタイムズが、こんな見出しをつけて非難しました。

冥王星が惑星じゃない?そんなのニューヨークだけだ

 この記事を機に、冥王星の処遇に関する論争が老若男女にかかわらず、エモーショナルな形で世界中に巻き起こることになります。

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 また、惑星の定義自体の曖昧さも、この議論を混乱させました。国際天文学連合自体が、惑星の厳密な定義をしていなかったのです。そんな中、冥王星は、1930年に第9番目の惑星として承認されたのですが、冥王星を惑星とすることに当初から疑問の声もあったといいます。そして太陽系外縁体の世界が明らかになり、冥王星と同じような天体が発見されるにつれて、冥王星は太陽系外縁体として扱うべきではないかという認識が次第に強まってきていたのです。

最終的に、国際天文学連合は、惑星を下記のように定義しました。

惑星とは、(a)太陽を巡る軌道上にあり(b)自らの引力が様々な剛体力を克服し静力学的に平行な(ほぼ球形の)形状となるに十分な質量を持ち、しかも(C)自らの軌道で他の天体をを一掃してしまっている天体を言う。

 この中で、Cの項目を冥王星が満たしていないということで、正式に準惑星として位置づけられるのですが、この決定後も納得しない人たちの声はやまなかったようです。昇格に比べ降格はよりその理由や経緯が問われる。人の世も同じ。このことが冥王星の降格問題を感情的にさせたのかも知れません。

 

【お知らせ】

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