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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№23📕辺境の地エウロパの生命について

生命の星・エウロパ (NHKブックス)  

 

 

 【使用教材】生命の星・エウロパ 

 著者 長沼 毅 2004年3月28日刊 NHK出版

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 私は本書の著者 長沼氏の大ファンです。近年そのキャラクターもあってTVなどのメディアにも登場し「科学界のインディージョーンズ」の名で親しまれています。その魅力は何といっても研究対象の幅広さと、どんな辺境地に行くことも厭わない行動力でしょう。人類最初の有人飛行(ガガーリン)が成功した年に生まれたことに宿命を感じて自らも宇宙飛行士に応募したり、未知なる生物を求めて深海探査機に乗り込んんだり、南極に行ったりと辺境を放浪していく姿に強い憧れを感じます。

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 その長沼氏が熱い視線をおくっている更なる辺境地が木星の衛星「エウロパ」です。タイトルをご覧ください。「生命の星 エウロパ」。もう生命がいることを断定しちゃっています。確かにエウロパにはその氷殻の下に水の海があり、その中には火山活動も起きている可能性があり生命の存在がささやかれてはいるのですが、まだ確認されたわけではありません。それを言いきっちゃうのが長沼流でしょうか。

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 本書を読んでいくと、著者の最大の関心はエウロパそのものではなく、極限状況でも逞しく生きている生きものであることが見えてきます。そもそも極限状況というのは人間にとってそうなのであって、そこで棲息している生物にとっては最適な場所かも知れません。常に人間目線で見てしまうと真実はぼやけてしまうと著者は指摘します。チューブワームというその名の通りチューブの形をした動物が深海にいます。この得体のしれぬ動物は、酸素がなくても平然と生きていける動物で、バクテリア共生してバクテリアが摂取する硫化水素から栄養分をとって生きているというのです。チューブワークには基口も胃腸も肛門もない。こんな生物がエウロパの海にいる可能性があると著者は言うのです。

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 エウロパ木星からの引力により同じ衛星のイオ同様、内部攪乱により火山活動があると考えられています。その火山活動により氷殻の下は液体の水があり、地球の海底火山と同じような熱水噴出孔が存在する可能性があると言います。著者は地球においても生命は、この深海の熱水噴出孔の地下で誕生したのではないかと考えており、エウロパに日本の誇る深海探査機「しんかい6500」を持ち運び探査するという夢まで披露しています。

また氷殻の下の水ということで言えば、南極の氷底湖ボストーク湖にも水が存在することが確認されており、2012年ロシアの探査機が3800㍍まで掘削しています。ここで生命の痕跡が見つかれば、エウロパ生命存在説をぐっと後押しするでしょう。いずれにしても、太陽までの距離の5倍遠く離れたエウロパは地球と深く結びついています。だからこそ、「2010年宇宙の旅」でも、謎の物体モノリスは地球による干渉を憂慮してこのようなメッセージを送ったのかも知れません。

 これらの世界はすべて、あなたたちのものだ。但しエウロパは除く。決して着陸してはならない。

     2010年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク 伊藤典夫訳 早川書房 2009年 437P)

長沼先生 どうしますか?