少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№15📕月の姿を想像する効用について

 

ドリトル先生月へゆく (岩波少年文庫―ドリトル先生物語)

 

 

【使用教材】書名 ドリトル先生月へゆく(前巻 月からの使者含む)

 著者ヒューロフティング 訳者 井伏鱒二 2000年11月刊 岩波書店

                                                                               ★

 動植物の言葉を理解し、生涯を生物への愛と探求に命を捧げるドリトル先生は、私の憧れであり目標です。私はこのドリトル先生シリーズを読んで、どれだけ先生の助手であるスタビンズ少年を羨ましく思ったことでしょうか。スタビンズはドリトル先生の旅に同伴することが多いのですが、月へも一緒に行くのです。

                                                                     ★ ★

    もちろんこれはフィクションなので、科学的な観点から言えば全くお話になりません。この話では、月には酸素があり水があり動植物がいて巨人までいます。それも環境がいいのか生物はどんどん巨大化します。月に行ったドリトル先生もどんどん大きくなり、月から戻ってきた時には5メートル以上の巨人になっています。しかし作者のロフティングが科学的な知識に欠けていたかと言えば、全くそんなことはありません。文中に月の成り立ちを先生が「地球が爆発をおこし、その一部がもぎとられて月ができた」と説明するくだりがあります。これは現在の一番有力視されている「巨大衝突説」に近く、結構いい線いってるんじゃないでしょうか。

                        ★ ★ ★

 私は第一巻の「ドリトル先生アフリカ行き」から読んでいますが、この月を舞台にしたお話は今までのものとは少し違う雰囲気があります。今までのほのぼのとしたまったり感が影を潜め、緊張感のある描写が多いのです。また今までのある程度展開が予想される予定調和感がなく、これからどんなことが待ち受けているのだろう 何故ドリトル先生は月に呼ばれたのだろうといった推理力が求められる描き方になっています。そう感じていたら読後、実はロフティングは、この巻をドリトル先生シリーズの最後にするつもりで書いていたことを知りました。月という舞台が好奇心旺盛なドリトル先生の最後にふさわしい場所だと作者は考えたのでしょう。ただ、熱狂的な読者がこれを最後にすることを許さず次の巻が5年後に出版され、結局ドリトル先生は地球に戻ってくるのですが・・・

                                                           ★ ★ ★ ★

 ドリトル先生が月に着陸してからおよそ40年後。アポロ号11号で人類が初めて月面に着陸し、最初に月面に下りたアームストロングが、あの有名な言葉を発します。

「これは一人の人間にとってはありふれた一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」

翌年、大阪で開かれた万国博覧会で当時小学生だった私は、炎天下中2時間並んで月の石を観ました。その時は進歩することが当然の時代だったので、自分が大人になった頃には、月に人が住むようになっているだろうと他愛もないことを考えていました。

 その後、さらなる調査によって到底人が住むことはできないことが明らかになっていくのですが、だからといって人々が失望し宇宙へのロマンが萎むということにはなりません。つまり知れば知るほど更にわからないことや謎が現れて人間の好奇心を刺激してくれるわけです。ドリトル先生もそうです。先生の探求心は一向に衰えないのです。それが私を魅了させるのでした。