少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

No14📕月を正当に評価することについて

もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅

 

 

【使用教材】   書名  もしも月がなかったら

   著者 ニールFカミンズ 監修  竹内均 訳者  増田まもる 

   1999年7月刊 東京書籍

                                                                             

 あるものを評価する時に一番手っ取り早い方法は、「もしそれがなかったらどんな不都合なことがあるか」を考えることだと思います。「もし空気がなかったら」「もし学校がなかったら」「もしコンビニがなかったら」「もしインターネットがなかったら」 どんどんこの考えは広がって身近なものに及びます。もし上司がいなかったら もし自分がいなかったら 洒落にならないので、これくらいにしておきましょう。

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 もし月がなかったらどうなるんでしょう。月の誕生には様々な説があるようですが、今一番有力なのは「巨大衝突説」です。45億年ほど前に火星程度の規模の星が地球に衝突して地球の岩石等がもぎとられ、浮遊したかたまりが次第に大きくなり、月となって引力により地球を周回するようになったという説です。これが正しいとすると、この衝突が起きなければ またそれがかすめる程度の衝突であれば、月は形成されてなかったことになります。月はその引力と太陽光の反射によって地球に大きな影響を与えているので、地球も今とは全く異なる姿になっていたと著者は語ります。

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具体的にいうと、

 潮汐力の減退によって地球の自転速度は速くなり1日8時間になる

 自転速度の早まりにより強風がふきあれ、強風に耐えれる重量の大きな動物や甲羅のある動物が有利になる

 潮汐力の減退で海水内の化学物質の混合や拡散が緩やかになり、生命の進化は遅くなる

 月という身近な存在がないため、宇宙技術の進歩が遅くなる。

こんな風に著者は推理して、月のない地球の姿を想像するのです。

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実はこの本は、月がないという想定だけではなく、「もし月が地球にもっと近かったら」「もし地球の質量がもっと小さかったら」「もし地軸が天王星のように傾いていたら」など9つの想定を設定して予想を披露していきます。ちなみに月と地球の距離が、今の38万㌔でなく1万2千㌔であれば、月の潮汐力が強すぎて海岸近くには人は住めず、月が明るすぎて天体観測はしづらく、月が地球に降り注ぐ隕石からのたてになっていたと予測しています。6,500万年前、隕石によって恐竜が滅び哺乳類が進化したと言われていますが、月が地球の盾となり、あの隕石が月に落下していたら、地球はまだ恐竜の時代が続いており人類の出番はなかったかもしれません。

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 「もし」ということを設定して物事を考えることは人類にとって非常に重要な行為だと思います。ある時はリスクを回避するために、ある時は想像の翼を広げるために ある時は真理を知るために。そうして人類は身を守り、社会を発展させてきたのでしょう。「もし月に人が住んでいたら」という発想からあの「竹取物語」も誕生したとすれば、「もし」という問いかけは、クリエィティブの基になる言葉と言えるのではないでしょうか。