少年シニア 55歳から学ぶ理科

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№5📀宇宙望遠鏡という芸術品について

ハッブル宇宙望遠鏡がみた美しすぎる宇宙DVD BOOK【DVD付き・160分・日本語字幕】 (宝島MOOK) 

 

 【使用教材】ハッブル宇宙望遠鏡が見た美しすぎる宇宙DVDブック             監修 渡部潤一(国立天文台理学博士)  2014年1月13日刊  宝島社

                                                                                  

 最近ではまゆつばの「美しすぎる〜」が散見されますが、こちらは正真正銘の美しすぎる宇宙が味わえます。「芸術は爆発だ!」は岡本太郎さんの名言ですが、爆発した星の姿も含め画像データによって描かれた宇宙は、まさに極上の美の世界なのでした。

今まで宇宙の膨張に触れてきましたが、このことを理論ではなく観測によって証明したのがエドウィンハッブル(1889〜1953 米国)です。ハッブルは「ドップラー効果」を使って銀河が地球から近づいているか遠ざかっているかを調べました。ドップラー効果というのは、近づく音源は高く聞こえ、遠ざかるときには低くなる現象です。これは音源が近づくときは波長が短くなり遠ざかるときは波長が長くなることで起こります。光も波の性質があるので、光を出す天体を観測して波長が長くなっているようであれば遠ざかっていることがわかります。光では波長が色を決めます。可視光では紫が最も波長が短く、波長が長いほど赤くなります。星が以前より赤くなっているのであれば、その星は遠ざかっているということになります。この赤方偏移という現象をハッブルは観測によって確認し、いまだに宇宙は膨張しているということを明らかにしたのです。

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ハッブル宇宙望遠鏡は、この天体観測の神様の名をとって、1990年4月にスペースシャトルディスカバリー号によって地球周回軌道に投入されました。高度600㌔ 空の上の天文台というわけです。空の上なら地上からの観測のように大気に邪魔されずクリアな画像データをとることができるという発想なのです。発想自体凄いのですが、技術的なハードルの高さは尋常ではないでしょう。たとえば空の上の天文台はそこまで運ぶ苦労や維持管理も大変です。実際打ち上げ2か月後に送られてきた画像はピントはずれの不鮮明なもので、いきなり不具合が発見されたのです。これを何と修理用のスペースシャトルを3年半後に打ち上げ、宇宙飛行士が船外で修理作業を行い見事成功したというのですから、おどろいてしまいます。その後は予想以上の宇宙の素晴らしいデータを地球に送信してきました。

その成果の一部を本書で味わうことができます。単なる美しい画像の紹介にとどまらず、宇宙に関する基本的な解説も加えて構成されているのは初心者にはありがたい限りです。冊子にDVD(160分収録)がつき消費税をいれて千円ちょっとのお値段も素敵です。

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さて数々の素晴らしい画像ですが、よく考えるとこれらは今の星々の姿ではありません。何百万年〜何十億年前に放たれた星の光がいま届いて、我々の前に姿をあらわしているわけです。望遠鏡はタイムマシンなのでした。私が一番感動した画像は、超新星爆発をおこした星の死の姿です。星もいつか死ぬのですね。ちなみに太陽はあと50億年ほどで死を迎えるそうです。そうなれば我々の地球も同じ運命を辿るでしょう。本書を見て夜空に輝く星々が、今まで以上に愛しく感じられるのでした。