少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№4📕包括的な宇宙観の大切さについて

空海とアインシュタイン 宗教と科学の対話 (PHP新書) 

      【使用教材】空海アインシュタイン                                         

        著 者    広瀬立成 2006年3月3日刊 PHP研究所

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    今回は違った切り口でのアインシュタインものです。空海アインシュタイン?どんな接点がと思いますよね。私もそう思いました。でも何か面白そうな気配がむんむん。空海のことも知っているようで知らないので、あわせて空海のことも勉強しようと思いました。物理学者である著者は、この本の狙いについてこのように語っています。

「本書の目的は宗教と科学がちがった波長の光を発していることを認めつつ二筋の光線が交差するところにあらわれる干渉パターンに注目したい。そのような干渉地帯に2人の天才を登場させ21世紀における人間の新しい生き方を探り出そうという意図がある」

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「宗教家ではあるが宇宙的な視点をもつ空海」と「科学者ではあるが、宇宙的宗教感覚をもつアインシュタイン」との仮想対話を設定することで、あるべき姿や危機感を読者にわかりやすく伝えたいという著者の強い想いを感じます。特にアインシュタインは、現代の宇宙論の基礎となる理論を数々発見した偉大な科学者ですが、それらの理論も含め科学知識へのあくなき追求が誤った形で利用され、原爆の誕生をもたらしたことに彼は心を痛めます。科学は使い方を誤れば凄まじい凶器となることをアインシュタインのみならず人類は認識したのでした。アインシュタインは戦後、先頭にたって核廃絶や世界政府の樹立を主張し平和運動を押し進めますが、社会はこれだけのことがあってもまだ人間中心の考えやエゴイズムを捨てきれていない。この苛立ちが著者の危機感につながります。

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 危機感の対象は「温暖化問題」「原発問題」「大量消費問題」はては「教育問題」にまで及びます。特に原発の安全性への懸念も本書で触れられていますが、この本が刊行された5年後、著者の不安は残念ながら現実のものとなってしまいました。著者は2人の仮想対話で空海にこう言わせています。

 「いまここで人間の生き方を根本から見直さない限り、人類は破滅へと追いやられてしまう。即身成仏の世界観によれば、人間と自然は宇宙真理の異なるあらわれにすぎないのだから自然の崩壊は人類の消滅にほかならない。人間が自分中心の小さな世界に閉じこもるのではなく、自然・宇宙をも視野にいれた”’包括的な世界観”をもつことが大切でしょう」

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空海アインシュタインも現状にとらわれず「真理を追究していくために知を磨く」という姿勢が共通しています。そのために空海はせっかく入った大学を中退しますし、アインシュタインも研究職に残れなかったりしますが、在野の場で自らの努力で真理を明らかにしていきます。空海綜芸種智院という身分に関係なく学問ができる総合教育機関を設立したのが55歳のときだそうです。空海は学ぶことの重要性を強く認識していました。現在55歳の私も好奇心をもち学び続けることで、自分なりの観を持てるよう頑張ります。