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少年シニア 55歳から学ぶ理科

生命のルーツを知ることは自分を知ること。生命の不思議で人生ワクワク致しましょう!

№185📕ルーシーは永遠に不滅です。

お元気ですか。少年シニアです。

1974年に「ルーシー」(約318万年前に生きていたとされる二十歳前後の女性の化石)

エチオピアで発見されたとき、彼女は間違いなく古人類学界のアイドルでした。

しかしその後、ルーシーよりも古い時代に生きた初期人類の化石が続々と発見される

中で、相対的に彼女の注目度は落ちていきました。

もうルーシーは忘れさられる存在なのでしょうか。いえいえ、いまだに多くのことを

我々に教えてくれる彼女は、永遠のヒロインなのだということが、発見者の一人であ

るイブコパンが著したこの本書を読めばよくわかります。

 

ルーシーの膝―人類進化のシナリオ

ルーシーの膝―人類進化のシナリオ

 

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 なんといってもルーシーの素晴らしさは、ほぼ全身の骨格を我々の前にみせてくれたことです。その骨の数は52個。そのため背丈や体重といった外見のみならず、そのしぐさや動作までがイメージしやすかったのです。その後に発見された初期人類のトゥーマイやオロリン、ラミダスが一部の骨だけであったのとは雲泥の差です。

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 推定身長は約1.1~1.2m。推定体重は20~25㌔。足と手の比率は、現在の人類と比べると手の比率が高く脚が短い。腕・肩・肘・手首の関節が非常に頑丈で、このことから樹上生活をしていたことが推測されます。ただ、脊柱の湾曲や頭骨の構造と大後頭孔の位置と横幅が広い骨盤はルーシーが2足歩行していたことも示していました。

  とはいえ、現在の人間の膝の関節が2足歩行しやすいように強固で安定しているのに対して、ルーシーの膝の関節は不安定で決して強固とはいえないものでした。そのためルーシーは突っ立ったままの姿勢やいわんや直立不動の姿勢には長く耐えられなかったでしょう。歩くのもこれまた不安定で、がに股で歩いてはすぐにバランスを崩すような感じで歩いていたと思われます。

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 脳容積は400㏄未満(現在の人類の脳の4分の1の容量)で小さいものの、前頭葉頭頂葉が発達し後頭葉が後方に倒されていて、脳の構造上の変化が始まっていたことを示しています。また喉頭の下降は見受けられず、現在の人類のような複雑な声は出せませんでした。叫び声や声の抑揚や変調そして合図や身振りでコミュニケーションをはかっていたことでしょう。

また歯はエナメル質が厚く 犬歯は大きくなく、小臼歯や大臼歯は大きくありませんでした。おそらく根や茎などを食べていたのでしょう。まだ、狩りをする能力や道具をつくる能力はなかったでしょう。

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 このようにルーシーはその多くの数の骨片から他のどの化石よりも多くのことを我々に教えてくれましたが、なぜ、彼女は「ルーシー」と名付けられたのでしょうか。

 それは彼女を発見することを夢見てエチオピアの300万年近く前の地層を発掘していた人たちが、ビートルズの「ルーシー・インザスカイ・ウイズダイアモンズ」をかけながら、その苛酷な作業に従事していたからです。そして、その労苦は報われ人類の進化の謎の解明に一歩近づくことができたのです。

1924年にレイモンドダートによって南アフリカの約200万年前の地層からアウストラロピティクス属の化石が発掘されましたが、ルーシーの発見により彼らに近い種が活動していた地域はアフリカ東部にも及んでいたことが明らかになりました。その後も、アフリカ東部から人類の祖先の化石が続々と出土し、本書の著書でもあるイヴコパンの、人類のゆりかごがアフリカ東部であったとする「イーストサイド物語」仮説が、うちたてられることになります。

 ⇩ ルーシーは7:30あたりから登場します


人類のルーツへの旅① オロリン トゥーマイ アウストロラロピテクス

 

№184📕一筋縄でいかない人類の起源

お元気ですか。少年シニアです。

ヒトの歴史をもっとも明らかにしてくれるのは、なんといっても化石ですが

これはそうたやすく見つかるものではなく、古人類学者の苦労はなみたいてい

のことではないようです。仮に見つかっても、保存状態もひどく復元してこれが

ヒトのものであるかどうかを見極めるにも大変な時間と技術を要します。

だからこそ人類のルーツに結び付くような化石を見つけると、その歓びは我々の

想像を絶することになります。それが古いものであれば古いほど・・・。

最初のヒト

最初のヒト

 

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 前回のブログで600~700万年前のヒトの化石と言われるトウーマイについて、疑義を抱いている学者もいるということをお伝えしました。その最右翼が、約600万年前のヒトの化石と言われる「オロリン」を発見したフランスの古人類学者ピクフォードとセナの2人です。セナなどは、「トウーマイ」をメスのゴリラの先祖だとしています。類人猿の犬歯はオスにくらべてメスは小さいので、その可能性を示唆したのです。彼らの立場としては、自らが発見した「オロリン」こそが、現段階で最古のヒトの化石であってその座をトウーマイに譲るのは耐えられないのでしょう。

彼らは、さらに「オロリン」はアウストラロピティクスへとつながる存在ではなく、アウストラロピティクスは我々の直接的な祖先ではなくオロリンこそが現在の人類にむすびつく存在であることも併せて主張しています。

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 一方、ピクフォードやセナの「オロリン」に疑義を抱く学者も多くいます。たとえば440万年前のヒトの化石と言われ、「トゥーマイ」や「オロリン」の存在が明らかにされるまでは、ヒトの最古の化石といわれていた「ラミダス猿人」を発見したアメリカの古人類学者のホワイトです。「オロリン」の化石で注目すべきは類人猿にはみられない溝が残る大腿骨でしたが、ホワイトはピクフォードやセナが実物写真やX線画像など自説を裏付けるための十分な証拠を示さないことに不満をあらわにして、彼らが真の科学者であるならば、より精度の高い証拠を多くの専門家に示して査証を受けなければならないと主張したのです。

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 実は「ラミダス猿人」の最初の化石である歯は、日本人の学者が発見しています。その名は諏訪元でホワイトのチームの一員でした。その後、全身骨格の化石が発掘され、ラミダス猿人はトゥーマィやオロリン以上の精度で復元されました。ただ、化石自体の保存状態は非常に悪く復元にはかなりの時間を要しました。ラミダスの足にはまだ土ふまずがなく親指も他の指と対抗していて樹木に掴まるような形をしていたことから、骨盤からは二足歩行はしていたとみられるものの、大半の時間は森林地帯の安全な樹木の上で過ごしていたのではないかとされています。

また、こちらはアウストラロピティクスへの特長はみられるものの、同じ属とするには違いが多く、アルディビテクス属という新たな属が設定され、最古のヒトがアウストラロピテクス属ではないことを宣言しました。

「サイエンスラミ...」の画像検索結果

↑2009年 科学誌「サイエンス」の表紙を飾る「ラミダス猿人のアルディ」

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 このようにヒトの化石の調査研究については、その精度の強弱もあって一筋縄でいかないようです。これも歯以外の化石がなかなか見つからないこと、また調査対象が自分たちの祖先ということで科学の世界とはいえ様々な感情がそこにはいりこんでくるのでなどが起因しているように思います。

しかし、こうした研究者間の激しい論争や競争心があるからこそ新たな発見があり、それを裏付けるためのハードルが高くなり、より真実への扉が開かれるのだと思います。

 

№183📕 トゥーマイは我々に何を語るのか

お元気ですか。少年シニアです。

私がまだ高校生だったころ、最初のヒトは約300万年前に生きた「アウストラロ

ピティクス」と学校で習いました。ところがその後の化石の発掘で、次々にヒトの

誕生時期は遡り、現在では500万年前から700万年前というのが通説となっています。

とりわけ最初のヒトとして有力視されている「サヘラントロプス・チヤデンシス」

(通称:トゥーマイ:現地ゴラン語で生命の希望という意味)の頭蓋骨の発見は、

人類進化のシナリオについて2つの意味で世界に大きな衝撃を与えました。

 

人類の原点を求めて―アベルからトゥーマイへ

人類の原点を求めて―アベルからトゥーマイへ

 

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    2001年にトゥーマイが発見されるまで、人類の起源は、次のような「イーストサイド物語」で語られていました。

今から800万年ほど前、アフリカの大地溝帯が形成されたことで、その東エリアに著しい気候変動が生じ雨が減り熱帯雨林からサバンナが広がった。この地にいたチンパンジーと人類の共通先祖はこの樹木の少ないサバンナで生きぬく際に、2足歩行の能力をもったものが生存面で優位となり、人類へと進化した。一方、大地溝帯の西側は熱帯雨林が残り、共通祖先はより熱帯雨林に適応したチンパンジーやボノボへと進化した

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 冒頭、トゥーマイの存在は2つの意味で大きな衝撃と記しましたが、まず1つめは、この発見により人類の起源が700万年まで遡ったことです。

そしてもう一つの衝撃は、トウーマイの発見地がこれまでのアフリカ東部ではなく、アフリカ中央部のチャドだということです。アフリカ東部のケニアエチオピアのエリアから誕生し、その後に周辺に拡散していったとするイーストサイドストーリーに大きな疑義がもたれることになったのです。

「トゥーマイ猿人...」の画像検索結果

愛地球博プレスリリースより)

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 実はトゥーマイを発見したフランスの古生物学者のブリュネは、以前チャドの砂漠エリアで約360万年前の猿人化石「アベル」を発見していました。アベルはその後の調査でアウストラロピテクス属の猿人であることが判明し、大地溝体の誕生以降も猿人がその西部にも生存していたことが明らかになり、人類の活動エリアが大幅に拡大されたのです。ただ、当時の人類の起源はアフリカ東部で発掘されたラミダス猿人の約440万年前とされており、アベルの発見は誕生時期の疑義に及ぶものではありませんでした。

しかし、アベルの発見は、ブリュネにチャドからこれまでの通説を覆すような人類化石のさらなる発見あるのではという予感を与えます。その中で2001年、ブリュネの予感は的中し、人類の特長を備えた700万年前の頭蓋骨(トゥーマイ)が発見されたのです。

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 トゥーマイが発掘された砂漠エリアは、700万年前は今とまったく異なる緑豊かな熱帯林だったことが、一緒に発掘された動物化石から明らかになっています。近くには大きな湖もあって、その岸辺に彼らは暮らしていたようです。人類の祖先は森林と草原と水辺が混在するという採食エリアを拡大するには絶好のロケーションで、時間をかけて2足歩行の能力に磨きをかけたのかもしれません。

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 ただトゥーマイについては頭蓋骨のみの発見ということもあり、2足歩行の確定的な証拠は弱いこと、またDNAの解析作業では人類とチンパンジーが分岐したのは約500万年前頃というデータが発表されたこともあり、現段階で最古のヒトとして認めることはできないと主張する学者もいます。

真実を知るためには、まだまだ地道な発掘活動を継続して、より精度の高い化石を見つけるしかないでしょう。それは本書でもブリュネが強く主張しています。人類進化の謎に終わりはないのだと。

これからも進化の真実に迫る学者たちの挑戦は続きます。

 

№182📕直立2足歩行の謎

 お元気ですか。少年シニアです。

いよいよ本ブログも我々人類「ヒト」の進化について突入します。

ドキドキするとともに何か気が重たくなる感じもあります。

自分たちの正体を知る怖さというのでしょうか。でも生命を考えるには、ここを

避けるわけにはいきませんよね。ということで勉強開始です。

直立歩行―進化への鍵

直立歩行―進化への鍵

 

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 人類の定義というのはいろいろあるようですが、生物学的には「直立2足歩行」が他の類人猿(チンパンジーやボノボなど)と人類をわける大きなポイントとなります。だからこそアフリカの各地からヒトと思われる化石が発掘されたときに、そこに直立2足歩行をしていたと証明できる部分が見受けられるかいなかが検討されることになります。いわばその結論によって人類の起源も、どこまで遡るかが変わってくるわけですね。

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 よく人類は直立2足歩行したことで手が自由に使えるようになり、それで道具を製作した。また直立姿勢によって複雑な音声を出すことが可能となり、コミュニケーション能力が向上した。それはさらに脳を進化・肥大化させ知的能力の向上につながった。こんな説明を学校で教わった記憶があるのですが、ことはそう単純ではなさそうです。

というのも、最初のヒトとして有力な「サヘラントロプスチャデンシス」が生存していたのは約600~700万年前で、その脳の推定容量は約350~380cc(チンパンジー程度)とされています。(ただチヤデンシスが本当に二足歩行していたかは学者間でも意見が大きく分かれているようです)

ところが、その約300万~400万年後に生存していたアウストラロピテクスの脳の推定容量も400㏄近くで、チヤデンシスの推定容量との差はあまりなく、現生人類の約4分の1程度にすぎないのです。

したがって、もし700万年前のご先祖様が本当に直立2足歩行していたとしても、約300~400万年の間に脳はそんなに肥大化していかなかったということになります。

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 そもそもなぜ人類は四足歩行を捨てたのでしょうか。直立2足歩行をすることはメリットもありますが、それ以上のデメリットがあるといわれています。現在腰痛や肩こりに悩む人は大変多いのですが、これもデメリットの一つでしょう。二足歩行によって天敵にも見つかりやすくなりますし、走力を含む身体能力についても直立2足歩行の我々人類は、四足歩行の他の類人猿に遠く及びません。

しかし、それを上回るメリットがあった、またそうせざるをえなかった事情があったから、人類は直立2足歩行への進化に舵をきったのはまちがいありません。

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 それはいったい何だったのでしょうか。そのことについての説は百花擾乱、これといった決め手になるような物証はまだ十分ないようです。しかし学者たちがどのような根拠でどのように考えているかを知ることは、無駄なことでは決してないと思います。その過程で、人間とは何かを自分なりに深く考えてみることができるからです。

次回から、時間をかけて人類の進化に関する様々な見方について自分なりに読んで感じたことを記していきたいと思います。

№181 📕ボノボの存在が示唆する人類の進化の行く末

お元気ですか。少年シニアです。

ボノボ」ってご存知ですか。ボノボはチンパンジーと同様アフリカ中央部に棲息する

類人猿で、チンパンジーの最も近縁者です。姿も大変似ていて一見チンパンジーと見分

けがつきません。このことがボノボの発見を遅らせました。ボノボが新種の類人猿とし

て発見されたのはわずか80年前のことなのです。

一番はっきりわかる違いは、チンパンジーの子供の顔は白く大人になると顔が黒くなる

のに対して、ボノボは子供の時から顔が黒いのです。ですから大人になるとさらに見分

けがつかなくなります。(身体の大きさはチンパンジーが幾分大きい)

ただ、彼らがつくりだす社会や各々のキャラクターにはかなり違いがあって、それが

我々人類を考える上でも大変示唆に富むものであることが、本書を読んでよくわかり

ました。

あなたはボノボ、それともチンパンジー? (朝日選書)

あなたはボノボ、それともチンパンジー? (朝日選書)

 

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 本書の帯にはこんな文章が書かれています。「セックスが好きで平和的なボノボ」「政治に長けて攻撃的なチンパンジー」。両者の違いを明らかにする上でボノボの平和志向は重要なキーワードになります。なわばりや雌をめぐるチンパンジーの抗争は、ときにリンチにまで発展する場合があるのに対して、ボノボではこうした過度な暴力に発展することはないというのです。チンパンジーでは優劣関係を確認しあうための様々な挨拶が発達していますが、ボノボは優劣のつかない性交渉を挨拶がわりに使います。(通称ホカホカと呼ぶ性器のこすりあいが主です)

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 また ボノボは遊び好きでとりわけ皆でやる遊びを好むと言います。一方チンパンジーは、子供の時こそよく遊びますが、大人になるにつれて遊びに関心をもたないようになります。恐らく遊ぶことにメリットがないからでしょう。遊んでエネルギーを消耗するくらいなら休んだ方がいいというのが、チンパンジーの論理。でもこれはチンパンジーに限らず哺乳類全般に言えることでしょう。しかしボノボは遊びを通して暴力を回避して秩序を維持しているようです。そういえば我々人類もボノボのように遊びに意味を見出して大人になっても遊びを続けますね。そういう意味では我々はボノボにより近い存在なのかもしれません。

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 また雄と雌の優劣がはっきりしないのもボノボの特徴で、雄が力で雌を従わせるという行為はほとんどありません。それどころか採食活動では明らかに雌の方が優位なのだそうです。時に食べている物を譲ったりして雌の歓心を買おうとしているのでしょう。ボノボは集団で和気あいあいと行動することが好きで、この点強者の中央集権志向のチンパンジーとは異なりますね。そしてこの平和的な集団を導いているのも雌のようで、ボノボの雄はどうも存在感が薄いのです。

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 さて我々ホモサピエンスの社会を考えると、チンパンジー的な要素とボノボ的な要素が共存しているように思います。社会だけでなく個人をみてもチンパンジーのような攻撃性とボノボのような平和志向が混ざり合っています。これは大変興味深いことです。ボノボの存在は、時に過剰な攻撃性や排他性をしめす人類の未来に一条の光を照らす存在のような気がしてなりません。

種の中でボノボへのシフト・融合がかなわぬ場合は、ホモサピエンスも攻撃的な種と平和志向の種に枝分かれして進化するストーリーもあるというのは、少々考えすぎでしょうか。

 


なんとも人間っぽい〔笑〕ボノボの行動

№180📕チンパンジー文化の伝承のキーは?

お元気ですか。少年シニアです。

チンパンジーを長年研究してきた松沢氏が、最初に研究所でチンパンジーのアイ

に会った時に、驚いたことが2つあるといいます。まず1つは松沢氏がアイの目

をみたときに、アイが松沢氏の目をじっとみたこと。これは通常の猿には見られ

ないことだそうです。もう一つは松沢氏が腕にはめていた袖当てをアイに手渡し

たところ、アイが自分の腕に袖当てを通して、またはずして松沢氏に返したこと。

この模倣するというところも一般の猿には見られず、人間に近い行動です。

実はDNAの点からもチンパンジーに近い存在は我々ホモサピエンスであって、

旧世界ザルや新世界ザルではないことが明らかになっています。

 

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

 

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 そういえば動物園でも類人猿のオラン・ウータンやチンパンジーは親子が見つめ合っている姿が見られます。精神というものは、まずは他者の存在によって育まれるものだと思いますが、一番最初に遭遇する他者と言えば「母親」に他なりません。おそらく母親と子は目をみつめあうことで、お互いの存在を認め合い絆を強めているのでしょう。

特にチンパンジーの場合は、他の動物に比べて圧倒的に育児の時間が長く(何と3歳半ころまで母乳を吸う)、母子関係の質は極めて重要になります。チンパンジーの妊娠は5年周期なので生後の5年間は、母子はいつも一緒におり、子は母親を独占し、その間に様々な生きるすべを母親から学ぶのです。

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 母親から学ぶすべは、母親の行為を真似ることが基本となります。チンパンジーの母親は、人間の母親のように手取り足取り教えることはないのだそうです。放っておいても子供は、母親の様子をうかがい真似をしようとします。木の枝によるシロアリ釣りも石を使ってのクルミ割も真似をします。なかなかうまくいかない場合もありますが、母親は特に反応しません。ただ子供の方は母親と同じ行為をすることで、うまくいった場合の喜びや、逆の場合の腹立たしい気持ちを共有し、他者の気持ちを理解するようになると言います。

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そんな強い絆をもつ母子ですから、育児期間に片方が死ぬと大変な状況が発生する場合もあるようです。年嵩の母親が老衰のためなくなって残された子は鬱状態になり、その2週間後になくなってしまったケースもあるとか。ただこのケースはかなり例外的なことで、多くの場合は群れの中の親族たち(特に姉)が母親代わりになって面倒をみるのだそうですが・・・。

 


Cute! Chimpanzee mom and child.チンパンジー母子。

 

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 チンパンジーは父系社会で、一定の年齢に達すると雌が群れからでていきます。雌は違う群れにはいり繁殖の機会をうかがうのですが、雌は自分の身体だけではなく自分が生まれ育った群れで学んだ文化行動もいっしょに携えて移動することになります。これがチンパンジーの文化の伝播の源になっていると著者は指摘しています。人類においても、人の移動が新たな文化を産む原動力になるのですが、チンパンジーの場合は雌がその役割を果たすというわけです。そして文化の伝播や継承は、他者の存在を認め時に許容するという根底がないと成り立ちません。

チンパンジーは雄の力が強い社会と言われていますが、どっこいここでも進化の鍵を握るのは雌のようですね。

№179📕素敵な進化の隣人,チンパンジーの知性

お元気ですか。少年シニアです。

生命はすべて不可思議なものですが、私が一番不可思議なのは我々人間の精神です。

基本的に生き物は自己の生命の維持と繁殖に心血を注ぐのに、どうして人間は、時に

自己の精神を守るために最も大切な生命でさえも投げ出したりすることがあるのか。

そうした心の進化を探るために、人類に最も近親関係にあるチンパンジーの研究を

長年続けられた方が松沢哲郎氏です。松沢氏の著書からチンパンジーについて考え

てみます。

進化の隣人 ヒトとチンパンジー (岩波新書)

進化の隣人 ヒトとチンパンジー (岩波新書)

 

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まずは、チンパンジーの脳力についてみてみましょう。

私もやったことがあるのですが、数字が映し出されてそれを数の若い順からクリックする脳トレ。私はせいぜい5つくらいの数字までしかできないのですが、松沢教授が世話をしているアイとその子供のアユムは、6つくらいの数字なら容易く正解します。訓練次第では記憶力について人間をしのぐものがあることがわかります。

また、色を表した漢字をみて正しい色のボードをあてることもできます。少し意地悪に赤色の字で「黒]と書いたものでも、ちゃんと黒のボードをあてることができます。

 


アイとアユム(日本語字幕版)

 

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 次に自己認識に関する脳力はどうでしょう。鏡に映っている自分の姿を自分と認識できるかどうか。イヌやネコ、類人猿以外の猿にその能力はないそうです。人間でさえも2歳くらいまではできません。チンパンジーはどうなんでしょうか。様々な実験からとンパンジーも人間同様、2歳以降では自己認識ができるようです。この点は、人間と同レベルと言えますね。

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また道具の利用や製作についてはどうでしょうか。木の枝を使ってシロアリをとるための棒をつくったり、葉っぱを折って舟型をつくりそこに水をためて飲むなど、簡単な道具ならいとも容易く利用します。また簡易ベッドも木の枝などを使ってつくります。そしてその技法は他のチンパンジーにも伝播していきます。

ただ、道具の利用や製作のレベルは人間のそれに比べれば、かなり低いと言わざるをえません。できる者が他者に教えるということもなく、できない者ができる者に教わろうともしません。またどんどん道具がブラッシュアップしてより精度の高いものになっていくこともありません。その点が人間との大きな違いです。

 


Tool Use

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 さらに他者の気持ちを想像して自他の違いを理解する力はどうでしょうか。人間はおよそ4〜5歳くらいになるとその力が身に着くそうですが、チンパンジーについては、まだその点が認められる証拠はまだなく、今後の実験・調査がまたれます。

いずれにしてもチンパンジーと人間には共通点もあり異なる面もあるということを、しっかり認識しておく必要があります。その共通点と相違点に、チンパンジーを通して「人間とは何か」という命題に迫る鍵がありそうです。

 

今回は主にチンパンジーの知性を中心にまとめましたが、次回は母子関係をもとに、彼らの精神性について考えてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

№178📕ゴリラから学ぶ信頼関係の構築

お元気ですか。少年シニアです。

その迫力ある風貌から凶暴な生き物として扱われがちなゴリラ。しかし知れば

知るほどゴリラほど繊細で家族的な生き物はいないことがわかります。

そして、接し方によってゴリラと人間とは友情を築くことが可能であることも

本書を読めば理解できます。

ゴリラに会いに行こう―チサトのゴリラ日和

ゴリラに会いに行こう―チサトのゴリラ日和

 

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 著者の阿部ちさとさんは、そんなゴリラの優しさに魅せられて、ゴリラが展示されている国内の動物園を渡り歩くだけでなく海外の動物園、はては野性のゴリラに会って、ゴリラの絵を描き続けています。

その阿部さんが絶賛するのが英国の片田舎にある「ハウレッツ動物園」。ここではゆったりしたスペースの中、複数の頭数からなる家族単位でゴリラが生活しています。

(日本国中の動物園で展示されている数をあわせても、本動物には及びません!)

そのため本動物園ではリラックスしたゴリラの生態を観察することができます。たとえばゴリラが著者の顔を見て笑ったという話。(失礼なと思いつつも大いに感動したそうです)。また夕飯前、気分よさそうなゴリラの歌を聴いた話。そんなエピソードが本書では数多く紹介されています。

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 ゴリラの家族は、1頭の力のある雄を中心に数頭の雌とその子供達で形成されます。雄の仕事はなかなか大変で、グループ内のもめ事を仲裁したり、他のグループや天敵から家族を守るなど多岐にわたります。時には遊びざかりの子供の相手をしてやるなど「イクメン」の側面もあります。父親は3〜4歳のこどもたちを叱ることはほとんどないそうですが、自立期にはいるときっぱりと厳しくしつけるそうで、このあたりは人間の父親も見習わなくてはなりませんね。

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  こんな理想の動物園を創り上げたのはジョンアスピナール氏。カジノの経営者でもあり、カジノで儲けたお金をこの動物園の運営に惜しみなくつぎこんでこられた方です。

彼の動物への愛情ははんぱではありません。動物園の運営にとどまらず、ここで生まれたゴリラのこどもたちをコンゴやガボンの自然の森に帰そうという試みも実践されました。両国の政府とも協力して、最初はハウレッツの飼育員や現地のキーパーの世話を受けながら、こどものゴリラは森で自立するノウハウを学ぶのだそうです。

この活動の先頭にたったアスピナール氏は、15年ほど前に病気で他界しましたが、今も彼の意思をついだ人達の手によって、この活動は継続されているそうです。

 たまたま彼が森に帰したこどもたちのゴリラに5年ぶりに再会する動画がアップされていました。動物園の様子も収録されており少々長いですが興味のある方はごらんください。ゴリラ達は子供の頃に世話になったアスピナール氏を忘れてはいませんでした。


Human and Gorilla Reunite after 5 years 60 Minutes Australia June 3rd 2012

 

絶滅の危機にさらされているゴリラたち。動物園の中だけでなく、保護地区で人間の保護を受けながらでもいいから本来の彼らの故郷である広大な自然の中で、のびのびと生きてほしいと切に願っています。

 

 

 

№177📕繋がるだけが社会性ではないことを教えてくれるオランウータン

お元気ですか。少年シニアです。

先日、私の別ブログ「少年シニア自由形で生きる」で、多摩動物公園の60歳になる

オランウータンのジプシーばあちゃんを紹介しました。

オランウータンは他のサルたちとくらべて非常にスローモーで動きも鈍いものの、

じっくり観察するとこれほどユーモラスで楽しい動物はいないと思います。

今回は、そんなオランウータンの生態について。

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  オランウータンは、樹上で生きる動物ではもっとも大きい動物です。オスで約70㌔前後、メスは45㌔程度。この重さで木の上を移動するために欠かせないのが、脚の約1.5倍の長さの腕です。指も長く枝がつかみやすいようにかぎ状にに曲がっています。ただ、テナガザルのような横に伸びる枝をつたっていくブラキエーション(うんていのような移動方法)ではなく、ツリーウエイという身体を縦に起こしながら幹をつかんでいく方法が主です。この体重なので枝から枝へとうつるブラキエーションでは落下するリスクがあまりに大きいのでしょう。

旭川動物園ではオラウータンがタワーにかかったロープ間を移動するスカイウォ―クが有名ですが、当初はブラキーエーションでの移動を想定してロープを1本だけにしていました。ところがこれだと彼らは渡ろうとしないのです。そこで、手で捕まる用と足で捕まる用の上下二本以上のロープを設置したところ、オラウータンたちは両手と両足を常に三か所以上つかむようにして渡りだしたとのことです。


オランウータン スカイウォーク 多摩動物公園 HD TZ7

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 さてオランウータンの知能はどの程度なのでしょうか。実は、オランウータンは主食の植物を、食べ物としてだけではなく薬草としても利用しているそうです。ハーブを自分の身体に塗って自己治療するそうで、先端の葉を数分噛んで葉と唾液を混ぜて石鹸のような液体をつくり、その泡を肩から手までにかけて塗りたくります。葉を液状にしたのは植物に含まれるサボニンという物質を引き出すためで、サボニンは抗菌剤や抗炎症剤として有用なのをオランウータンは知っているのでしょう。

それにしても、自分で薬に加工するスキルまでもっているとは恐るべし。


Attenborough: Amazing DIY Orangutans - BBC Earth

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 最後にオランウータンの社会性について。オランウータンは原猿類を除いた霊長類の中で最も単独性が強いと言われています。グルーミングや遊び、交尾などの社会交渉をおこなう頻度は全活動の2%にすぎません。野性のオランウータンが集団生活しない理由は、その生活環境にあるようで、アジア最大の果実食者であるオランウータンが集団でいるとすぐに食べつくしてしまうからと言われていいます。ほどよいスペースをなわばりにして、互いが共存できるようにしているのでしょう。

つねに近くにいてべたべたした関係を築くだけが社会性ではないことを、われわれ人間も経験上心得ています。同じくオランウータンも大人なのでしょう。動物園などでも実にほどよい関係を保ちながらも、各自の自由を尊重し適度にはなれる彼らの姿を何度もみました。何ともその姿が魅力的で、私はたびたび彼らに会いに行くのでした。

 

 

№176📕芸術家も愛したテナガザルの品格

お元気ですか。少年シニアです。

人間の親戚といえば、チンパンジー、オランウータン、ゴリラと答えが返ってきますが

なかなかテナガザルという答えは返ってきません。同じ尻尾がなく二足歩行する類人

猿のグループなのですが、どうも影が薄い印象です。でも知れば知るほどむしろテナ

ガザルこそが一番人間に近い存在なのではと思うようになりました。

中国人も古来よりその点を肌で感じ、テナガザルに畏敬の念を感じていたようです。

今回は我々の親戚、テナガザルのお話です。

【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】中国のテナガザル

【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】中国のテナガザル

 

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 テナガザルは「森を歩く者」という異名の通り、ほとんどの時間を樹の上で生活しています。身体もほっそりしてブラキュエーションという身体を前後に揺すって枝から枝へと移っていく方法(運動神経のいい子供が雲梯でやっているよう)で、森の中を渡り歩きます。木の下に降りることは殆どありません。

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その点、地上に降りた人間とは行動様式が大きく異なるようですが、他の類人猿より人間に似ている点もあります。例えばテナガザルは一夫一婦制で死ぬまで添い遂げます。この点乱婚のチンパンジーやハーレムを造るゴリラや単独行動をとるオラウータンとは異なります。また、独特の鳴き声で頻繁にコミュニケ―ションを使って情報のやりとりをしていることも人間社会との類似点が見られます。彼らは同じ分布圏と穏やかな関係を保ち、そうした家族同士が一緒になって群れを構成します。そして年長者は他の者に対して保護的な立場をとり、危険が迫ると大声で警告音を発し、家族全員が助けに馳せ参じてきます。こうした家族や縁故中心主義も人間社会との共通点が見られます。

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 また食事の様子も人間と似ている点が多いようです。主食は果実ですが、歯で皮をむき種子や腐った部分を捨ててきちんと食べます。また、群の年長のボス的なテナガザルが、他の連中の前でこれ見よがしに腹いっぱい食べることもないそうです。

 このような人間との共通点や礼儀マナーを重んじるテナガザルを古来から中国では、他のサルとはっきり区別していました。実は古来の中国では「猿」はテナガザルを意味しその他のマカク類のサルは「猴」と記して完全にわけていたとされています。

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 そればかりか、殆ど下界に降りてこず、奥深い静かな森の樹上でひっそりと家族とともに生活をしているテナガザルの姿を人間のあるべき姿として評価しました。優れた芸術家たちもテナガザルを題材にした詩や絵画を好んで制作しました。彼らの優雅な動きとその悲しげな鳴き声が、芸術家 とりわけ詩人の心をとらえたのです。あの詩仙李白もその一人でこんな詩を創っています。

 

朝に辞す白帝彩雲の間  

千里の江陵一日にて還る

両岸の猿声啼きて尽きず 

軽舟すでにして過ぐ万重の山

 

家族の間で交わすテナガザルたちの鳴き声を聞いて、遠くに残してきた家族を思い出したのでしょうか、長い長い旅の孤独を思ったのでしょうか。切ない気持ちがひしひしとこの詩から伝わってきます。

 

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 先日、動物園でテナガザルを見ました。子ザルは片時も母親から離れず、父ザルは少し離れたところでその様子を見守っていました。その情景はまさに一昔前の人間の典型的な親子の姿でした。わたしはほっこりした気持ちになって、なかなかその場を立ち去ることができませんでした。

 

↓ 大車輪は内村航平も真っ青かな?


シロテテナガザルの大車輪